公道に“タックル用”のラグビーボール!? 外国人観光客の「夜のマナー」を嘆く前に日本人も襟を正そう

ラグビーワールドカップは日本代表決勝トーナメント進出を賭けた、13日の対スコットランド戦を前に一層の盛り上がりを見せている。唯一の懸念は、「(試合が)中止なら引き分けあつかい」という台風の進路とも言えるがこればかりは、天に祈るしかないだろう。

そんななか、ワールドカップとともにメディアが競うように取り上げているのが、訪日外国人サポーターによる暴走気味とも思える振る舞いだ。公共交通機関のなかや歓楽街の狭い路地での飲酒、放吟、占拠、果てはスクラムを組んでボールを回すなどの行為に、眉を顰める日本人も少なくはない。

もっとも、スクラムはともかく飲酒や放吟、占拠などは日本人も野球やサッカーの際にないとは言えず、一概に外国人だから……ということではない。これは、原則野外飲酒禁止の欧米との習慣やマナーの相違によるものも大きいだろう。そこで考えたいのは、受け入れる“日本人側”のマナーの問題である。

とかく日本人は規律正しくマナーが良いと自負するしそれをまた否定はしない。しかしなかには、ワールドカップのような千載一遇の機会を商機と見てマナー違反、あるいは法律違反を覚悟でショーバイに勤しむ人もいるのは事実だ。

日本を代表する歓楽街を持つ新宿。そのなかでも、歌舞伎町やゴールデン街、新宿二丁目などがラグビーサポーターたちで溢れているが、そのなかの新宿二丁目の某バーは公道である歩道にテーブルはもちろん、ラグビーボール状のモニュメント(?)まで設置して客を迎え入れていた。

これは極端な例であるが、さすがに近所から苦情があったらしく、新宿区役所の監察指導係から指導を受けている場面を筆者は目撃した。ちなみに監察指導係の担当者は電話取材に対し、「近隣の申し入れがあったので指導をした。これ以外でも、月一回の夜間監察などで問題があれば、随時指導する」とのことだった。

個人的には、多少の飾り立てなら目くじらを立てることはない、というスタンスだが、あまりにも節度なくやりすぎるのは、やはり地域のためにはならないだろう。

このような例とは逆に、同じくラグビーサポーターに人気が高い新宿ゴールデン街では、各店舗に改めて対応の徹底を呼び掛けるとともに、組合員などが率先して混雑整理などにあたり始めた。このような迅速な対応は街・サポーター双方に有意義なことであり、効果的だと言えよう。

いずれにしても、来年にはオリンピックも控えている。外国人観光客のマナーに訴えることも大事だが、受け入れる側の心構えも必要ということだ。(取材・文◎鈴木光司)

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