大きな傷跡を残した台風15号 SFCの専門家はどう見る

台風19号の接近が迫る中、我々にできる対策とは何か。9月8日深夜から9月9日未明に、藤沢市を襲った台風15号から学べることはないのか。編集部では、気象の専門家である宮本佳明専任講師と防災の専門家である大木聖子准教授のお話を伺って、台風被害についてまとめた。

関東では過去最強クラスの台風

― 台風15号について教えてください。

宮本専任講師

千葉県の被害があそこまで大きくなってしまったのはいくつも要因があると思います。一番の要因は、台風の強さが関東に来るもののなかでは過去最強クラスだったことですね。一般的に関東に上陸する台風は水温が低いなどの影響で勢力が弱まるのですが、今回は水温が高めであったために勢力が弱まりませんでした。また、通常は大気の流れも台風を弱めるのですが、それも今回はあまりなかった。こういった要因で強い勢力のまま上陸してしまったと考えられます。
台風について語る宮本講師

被害を悪化させた斜面災害

― 何が被害を拡大させた要因だと考えられますか?

大木准教授

風というのも要因としては外せないけど、斜面災害が大きな要因だと思う。日本は国土のほとんどが山なので地震でも台風でも斜面災害が発生する。千葉県や神奈川県は人口が多く、斜面災害が起きた場合の影響も大きいということが今回あらためて浮き彫りになったと思う。
災害について語る大木准教授

避難に際しての注意

雨よりも風に注意を!

― 避難を考える上で何が怖いですか?

大木准教授

基準が作られていないことかな。台風が来ると分かっていても、会社なら何時から出勤させるとか何時に退社させるとかの判断がまだまだできていない。

宮本専任講師

あまり発信されていない情報ですが、風速が20m/sを超えてきたら、外出は危険ですね。走っているトラックですら横転の危険性があるし、看板とかも飛んできますから。そして気象庁は、安全第一で警報などを出しています。晴れ予報を出して雨が降るより、雨予報を出して晴れるようにしています。つまり、気象庁からの指示に従うことが重要です。

SFCは大丈夫?

― SFCは豪雨の際、避難先として指定されることについてどう思いますか?

大木准教授

SFCは地震のときの避難先になっていて、それに倣って、水害時も避難先に指定されていますね。でも過去には大雨でロータリーが水没している。むしろキャンパスが孤立する可能性を考えれば避難先としては、もっと高台の公共施設の方がいいんじゃないかな、と思う。

「塾生皆泳」 SFC生への想い

大木准教授

「塾生皆泳」という言葉があるように、自分が泳げない、つまり災害時自分の命を守れないというのはもっての外。SFC生に求められるのは、自分の命は守り、さらに知識や情報を使って、災害時に周囲の人を救えるような人になることだと思う。自分が周囲の人を救える立場にあるのだということをぜひ自覚しながら過ごしてほしいです。
当日は大木研究会と宮本研究会の一部の学生も取材に同席。学生からは質問も出た。

台風が過ぎ去り4週間がたっても、いまだ停電が続く地域が残っている。迫る台風19号に備えるべく、豪雨や強風への対策や住んでいる場所の避難場所・ハザードマップの確認を忘れずにして、もし避難指示が出た場合には迅速に避難しよう。

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