<レスリング>【記録】36年ぶりの6位、実質的に史上最高の成績…世界選手権・男子グレコローマン/国別対抗得点

国別対抗得点6位の原動力となった文田健一郎の優勝=撮影・保高幸子

 今年の世界選手権では、男子グレコローマンが「金2・銅1」を獲得し、国別対抗得点で6位に入賞した。1961年大会から参加した日本にとって、最高タイの成績。これまで1962年、1967年、1970年、1983年大会で6位に入賞しており、36年ぶりの好成績となる。

 以前の6位の時は「ソ連」が出ていた時代で、参加国は30ヶ国に満たなかった。1993年にソ連が15の国に分かれて出場するようになってからは、アジアやアフリカにグレコローマンの普及が進んだこともあって出場国は増加。26年間、1けたの順位すらなかった。今年は64ヵ国が参加した中での6位。実質的に史上最高の成績と言えるだろう。

 1983年は57kg級の江藤正基が優勝し、48kg級の佐々木文和が4位、52kg級の宮原厚次と74kg級の向井孝博が6位による団体6位。当時の選手は、国別対抗得点にあまり関心がなかったようで、江藤氏(現JOCエリートアカデミー・コーチ)は「団体順位の成績は記憶にない。表彰式があったかどうかも覚えていない」とのこと。

 当時はアジアの1位にワールドカップ出場資格が与えられており、「(団体成績を)意識していたような気もするが…」と振り返るが、はっきりした記憶はないようだ。韓国は台頭しておらず、イランのグレコローマンは強くなかったので、アジア1位は当然だったせいかもしれない。

 今年は、グレコローマンの最終日を迎える前に8位以内の確率が高かった。最終日に決勝を控えていた文田健一郎は「ワールドカップ(現在は大陸にかかわらず8位以内)に出場できる」と発奮材料にし、団体成績もしっかり意識していた。フリースタイルが2017年に6位、2018年に5位の成績を残して2年連続でワールドカップに出場しただけに、ライバル意識もあったのではないか。グレコローマンの国別対抗得点6位入賞という成績は、今後の代表選手に刺激を与えそうだ。

 男子グレコローマンの年度別の国別対抗得点の成績と、年度別のメダリストは下記の通り。

《世界選手権・男子グレコローマン/年度別成績》


日本・男子グレコローマンの世界選手権・団体成績&世界大会メダリスト

★はオリンピックで国別対抗得点争いはなし。1961~1983年は6位以内(優勝=6点)、1985年以降は10位以内(優勝=10点)が得点の対象。2018年から「優勝=25点、2位=20点、…」に変更。

年 団体成績 金メダル 銀メダル 銅メダル

2019年 6位 65点 文田健一郎(60kg級)
太田忍(63kg級)   小川翔太(55kg級)

2018年 23位 14点      

2017年 15位 10点 文田健一郎(59kg級)    

2016年★  ----   太田忍(59kg級)  

2015年 33位 0点      

2014年 14位 12点      

2013年 16位 9点      

2012年★ ----      松本隆太郎(60kg級)

2011年 23位 5点      

2010年 10位 15点   松本隆太郎(60kg級)  

2009年 22位 6点      

2008年★ ----       

2007年 11位 15点   笹本睦(60kg級)  

2006年 28位 2点      

2005年 26位 4点      

2004年★ ----       

2003年 32位 1点      

2002年 31位 1点      

2001年 25位 6点      

2000年★ ----    永田克彦(69kg級)  

1999年 32位 0点      

1998年 30位 0点      

1997年 29位 0点      

1996年★  ----      

1995年 20位 9点   嘉戸洋(48kg級)  

1994年 19位 8点      

1993年 14位 14点      

1992年★  ----      

1991年 13位 18点      

1990年 9位 26点     蝦名康一(48kg級)

1989年 7位 26点      

1988年★  ----   宮原厚次(52kg級)  

1987年 9位 25点     西口茂樹(62kg級)

1986年 8位 25点     宮原厚次(52kg級)

1985年 12位 5点      

1984年★ ----  宮原厚次(52kg級) 江藤正基(57kg級) 斉藤育造(48kg級)

1983年 6位 11点 江藤正基(57kg級)    

1982年 14位 1点      

1981年 7位 11点   宮原厚次(52kg級)  

1980年★  ----      

1979年 9位 11点   柏木究(57kg級) 朝倉利夫(52kg級)

1978年 12位 2点      

1977年 19位 0点      

1976年★ ----      平山紘一郎(52kg級)

1975年 12位 4点      

1974年 16位 0点      

1973年 14位 1点      

1972年★ ----    平山紘一郎(52kg級)  

1971年 9位 8点     藤本英男(62kg級)
田上高(68kg級)

1970年 6位 17点 藤本英男(62kg級) 杉山三郎(52kg級) 田上高(68kg級)

1969年 9位 10点      

1968年★ ----  宗村宗二(70kg級) 藤本英男(63kg級)  

1967年 6位 8点     花原勉(57kg級)
藤本英男(63kg級)

1966年 10位 9点   桜間幸次(67kg級)  

1965年 13位 7点      

1964年★ ----  花原勉(52kg級)
市口政光(57kg級)    

1963年 13位 5点      

1962年 6位 8点 市口政光(57kg級)    

1961年 15位 4点      

1960年★ ----       

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