深刻な被害や影響が懸念される台風19号の接近で、県内は11日、先手の対策や避難準備が各地で進んだ。鉄道の計画運休に加え、商業施設の休業や主要道路の通行止め方針も続々と決まり、命と安全を守るための厳重な警戒が広がった。
県内の路線バスは大半が12日の終車前に運休する見通しだ。神奈川中央交通、川崎鶴見臨港バス、小田急バスは午後2時ごろまでに、東急バスは午後3時ごろまでに全路線が運休する。
相鉄バスは正午以降に全路線が運休。横浜市交通局は一部で終日運休。伊豆箱根バスと箱根登山バスは一部で午前中から運休となる。
川崎市交通局、京急バス、江ノ電バスも、終車前に見合わせる可能性がある。神奈中、京急の空港発着便は、大半が午前中に運休する。
13日も道路の安全が確保できるまで運転を取りやめる場合がある。県バス協会は、協会や各事業者のホームページで最新情報を確認するよう呼び掛けている。
また、国土交通省や高速道路各社によると、東名高速道路や東京湾アクアライン、第三京浜、横浜新道、横浜横須賀道路、小田原厚木道路なども、12日正午以降、通行止めの可能性がある。西湘バイパスは11日、高波の恐れから全線で通行止めとなった。
◆商品消えた陳列棚
県内のスーパーや小売店には11日、台風の襲来に備えて食料品や水を買い求める人が相次いで来店した。店側も事態を見越してあらかじめ仕入れ品を増やす対応を取ったが、商品が消えた棚も目立った。
三浦市初声町下宮田のスーパー「ベイシア三浦店」。9月の台風15号で品薄状態になったことから、今回は水やパン、カップ麺、レトルト食品などを通常の約4倍発注したが、11日には品薄状態となった。
「感覚として、10、11日の来店者は通常の2倍、買っていく量は数倍」と松村拓磨副店長。11日の開店前には約50人が列を作り、パンや水が残っているか確認の電話も相次いだという。
来店した横須賀市の男性(25)は「火を使わずに食べられる物をと思ったが、ほぼなくなっており備蓄できそうな菓子などを買った。どれほどの被害になるか分からないが備えておかなければ」と話した。
横浜市内の商店街でも多くの人が備蓄品の購入に訪れ、一部の商品が品薄になる店もあった。南区の横浜橋通商店街のドラッグストアでは10日から11日にかけてカセットコンロ用のガスボンベや飲料水がなくなったほか、水産加工品店では練り物や干物など比較的日持ちのする商品が多く売れたという。