選別ライン新設 黒谷

■高純度スクラップ生産

 黒谷は、非鉄金属の廃棄物から純度の高いスクラップを生産するための選別ラインを射水市奈呉の江(新湊)の本社工場に新設する。中国などで環境への配慮からスクラップの輸入規制を強化する動きが広がる中、品質の高い製品で市場ニーズに対応する。

 同社は銅やアルミ、ニッケルなどのスクラップを製造。販売先で電線や半導体の基板などの材料として活用されている。現在は一部の工程で目視や手作業による金属の選別が行われており、新ラインの導入に伴う自動化で選別の精度と処理スピードの向上につなげる。投資額は約3億円。

■銅価格下落で最終赤字 8月期

 黒谷が11日発表した2019年8月期の連結決算は、米中貿易摩擦を背景とする市況の低迷などで減収となり、銅価格の下落による利ざやの縮小と在庫評価損の発生により3年ぶりに最終赤字となった。

 事業別の売上高は、インゴットやスクラップなどの非鉄金属が前年比10.8%減の502億6200万円、仏像、仏具などの美術工芸が10.1%減の4億800万円。品目別ではインゴットが7.9%減の159億7400万円、スクラップが12.1%減の341億5600万円、その他が13.0%増の1億3千万円だった。

 期末配当は1株当たり7円50銭とし、中間と合わせ年15円とする。20年8月期は減収増益を予想し、配当は年15円を据え置く。

■米中摩擦に恨み節

 「交渉に対する期待感と失望感が錯綜し、世界経済が振り回された」。3年ぶりの最終赤字を計上した黒谷の黒谷純久社長は、長期化する米中貿易摩擦に恨み節をこぼした。

 業績悪化の要因となった銅価格の下落は、世界経済の先行きへの警戒感を反映したもの。「外部要因はどうにもできない。貿易戦争がどちらの得にもならないのは明らかであり、早く手打ちしてほしい」と、早期の摩擦解消を願った。

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