【台風19号】神奈川各地に避難所開設、早期の避難住民が急増

前日夜から周辺住民が身を寄せた小学校の避難所=12日午前、平塚市

 台風19号の接近に伴い、神奈川県内自治体が避難所を各地に開設した。今回は早い段階で避難する住民が増えている。

 大雨で河川の水位上昇による浸水被害などが生じる可能性があるとして、平塚市は11日夜から、金目川流域を中心に避難所8カ所を開設。12日朝には全市内53カ所に拡張した。

 金目川近くの市立小学校の避難所では、9人が夜を過ごし、12日朝の時点で20人以上が身を寄せた。担当者は「9月の台風15号の3倍近いペースで避難者が増えている」と述べ、対応に追われた。

 離れて暮らす孫らに勧められて初めて避難したという女性(89)は「想定以上の台風と聞き、甘い認識ではいけないと思った。避難所に来て安心した」。小学生の子ども3人を連れて避難した女性(38)は「夫が泊まり込みの仕事で家を空けるので避難を決めた。家が築40年と古いので何事もなく明日の朝に帰れるといいのですが…」と不安げな表情を浮かべた。

 市内では大型ショッピングモール「ららぽーと湘南平塚」やJR平塚駅ビル「ラスカ平塚」などの休業が相次ぎ、周辺は閑散とした。

 大和市南部の小学校に開設された避難所には、12日朝から避難する住民の姿が相次いだ。最大5メートル未満の浸水被害が想定される境川と引地川沿いに暮らす住民たちが大半で、食料や着替えなど寝泊まりできる荷物を持ち込む避難者の姿も見られた。

 同避難所は11日夜に開設された。11日午後10時半ごろ、防災行政無線で「避難準備・高齢者避難開始」の情報を聞いて妻と次女と避難したという男性(80)=同市福田=は「今年2月に行われた自治会の防災訓練に参加し、早めの避難が重要ということは分かっていた。妻は足が少し悪いのでタクシーでここまで来た。昨晩は寝られなかったが、自宅に居ていろいろ心配しているよりも良い」と話した。

 また、12日午前9時ごろ徒歩で避難してきた高齢夫婦は市外に住む子どもたちからの電話で勧められたという。「風雨が激しくなる前に」と、おにぎりや着替えなどが入った大きな荷物を持参し、避難所の受け付けに向かった。

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