FC町田ゼルビア、「FC町田トウキョウ」改名で大波紋

11日、FC町田ゼルビアはサポーターミーティングを行い、そこでオーナーのサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏が登壇しクラブの改名を発表した。

2021シーズンより、FC町田ゼルビアより「FC町田トウキョウ」に変更、ゼルビアという名前は運営会社名として株式会社ゼルビアとしては残るがクラブ名からは消える。

サポーターミーティングの様子はサイバーエージェントの公式Youtubeチャンネルでも掲載された。

また、エンブレムも変更、ゼルビー君はスタジアムのマスコットとしては残るが、カワセミのマスクをかぶった新しいマスコットが登場するという。

こうした改名は2018年に経営権を獲得した際の条件であったという。

藤田社長はJ1のライセンスを獲得するには約10億円の投資が必要でそのためには町田ゼルビアの現在の観客数や売り上げでは厳しいといい、トウキョウブランドでファン拡大やブランディングを目指すという。その中で「2021年にJ1、2024年にJ1優勝、2025年にACL優勝を目指す」というストーリーを発表した。

だが、すぐに大反発したのはサポーターだ。

ゼルビアという名前が事実上なくなり、マスコットも新しくなる。藤田社長はゼルビアの名前を残す案も検討したとはいうが(東京町田ゼルビアでは)長い・難易度が高かったとの理由から外したという。

ただ、サポーターに許可なく事後承諾の形でクラブ名変更という形になり、サポーターミーティングは多いに荒れた。

今回の発表では「町田からの移転はない」というが、将来的に代々木にできる新しいスタジアムへ移るのではないか?という懸念もある。早速、知り合いのサポーターに電話をしたところ、「ゼルビアというクラブが間接的になくなる未来もありうる」、「東京ヴェルディにも接触していたといい、東京都のチームでJリーグに参加する権利が欲しかっただけなのでは?」「この件でうまくいかなくてすぐに投げ出さないか心配(藤田社長はかつて2006年にヴェルディを運営する日本テレビフットボールクラブとの業務・資本提携を行い第2位の株主となったが僅か2年でほおりだした過去がある。その後はヴェルディの胸スポンサーが入らない時期もあるなど苦戦し、今もJ1へはあがれていない。)」という疑念の声を聴くことができた。

確かに八王子出身の筆者でも町田ゼルビアは観戦に不便な立地と感じることはある。それでも町の自販機がゼルビアの強化につながる寄付のものであったり街をあげて小さいながら育ててきたんだという誇りを感じさせてくれる。あのチームは、町田でありゼルビアなのだ。町田は東京都だけど東京扱いされない、少し行くと橋本や相模原…でも神奈川でもないというあいまいな立地(八王子のはしの方もそんな感じ)というのが町田の良いところなのだ。

ビジネスとしては現在の町田ゼルビアの数字が物足りないのはうなづける。実際に昨年J2で上位の成績を収めながらもJ1ライセンスがなく、観客数も平均約5000人ほどだ。藤田社長がいうように近くにはFC東京、ヴェルディ、SC相模原…とライバルも多い。ただ、エムブレム、マスコット、チーム名とがらっと変わるとなると今までのサポーターは切り捨てられた、と見られても仕方がない。Jリーグのビジネスというのは地域密着型である。「地元民の誇り」を「名前が覚えずらい」で変えられてはたまったものではない。

過去にJリーグのチームがチーム名変更で揺れることはあった。ただ、ジェフも未だに「市原」の名前をチーム名に残し、横浜フリューゲルスもFの一文字ではあるがマリノスに引き継がれて続いている。松本山雅FCなどは選手が集った喫茶店「山雅」の名前がいまだに残っている。それだけ「重い」ものなのだ。

一抹の寂しさを感じて調べたところ、早速、SNSでは署名運動を行おうというサポーターがちらりほらりと出現しており今後より大きな規模で波及していく可能性がある。

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