1000%復帰はない!宣言してから6年。渡邉美樹氏がワタミ経営に復活 その理由は?

居酒屋チェーン大手「ワタミグループ」の創業者であり元参院議員の渡邉美樹氏が、会長兼グループ最高経営責任者(CEO)に10月1日付で就任し、同グループに6年ぶりに復帰することが発表されました。

ワタミグループといえば、2008に年居酒屋チェーン「和民」に勤めていた新入社員が過労自殺したことにより経営姿勢へ批判が高まり、2013年には「ブラック企業大賞」に選ばれるなどイメージが悪化。2012年に元社員の労災が認定され、その後、遺族は損害賠償を求め提訴し責任の所在に関して争われましたが、ワタミ側が法的責任を認め遺族と2015年12月に和解しています。

当時、経営から退き2013年には参院選比例区に自民党から立候補していた渡邉氏は「今後(経営)には1000% 戻ることはない」と断言しており、今回の復帰に関して多くのメディアが注目。渡邉氏は都内で開催された記者発表会にて「過去のご指摘はすべて受け入れたい。反省すべきところは反省し、今までのことは一切振り返らない」などと答え、改めて新しいワタミグループの舵取りを宣言しました。

同グループは新業態「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」などを軸に復調し2016年には黒字回復させています。渡邉氏は「社員の待遇を改善し、現在では社員の年間離職率は業界平均を下回る8.5%になっている」とホワイト企業としての姿をアピール。

また「政治家としては0点だった」と参議院議員時代を振り返り、「国会は税と法律と予算で国を変える。企業は、経営モデルで国を変えることができる」とし、今後のグループ成長戦略と複数の新規事業を発表しました。

新規事業を展開“第二の創業”を志す

大きな目玉としては、大規模農業テーマパーク『ワタミオーガニックランド』を岩手県の陸前高田市に展開。東日本大震災の復興を視野にいれ地方創生に貢献したいとしています。

新規事業『ワタミオーガニックランド』は約23ha(東京ドーム5個分)の敷地を有し、施設内には農場・牧場・養鶏・工房・ショップ・レストラン・発電施設・宿泊が設けられた循環型6次元産業をモデルとしています。2021年の開業を目指し、年間来場者数は35万人を見込んでいるそうです。

また、高齢者宅に弁当を配達する宅食事業にも力を入れ、2019年3月期で売上高が947億円、営業利益率は1%強にとどまっているものを22年3月期に1000億円の大台に乗せ、25年3月期には1500億円、29年3月期には2000億円に引き上げ営業利益率5%を目指すと発表。

本業である外食事業では、直営店主体の経営からフランチャイズ展開へと切り替え、「から揚げの天才」「しろくまストア」などのブランドを中心に小規模な店づくりを進める方針が発表されました。

あえて取締役ではなく最高経営責任者として経営に復帰した渡邉氏。これを機に渡邉氏は第二の創業”としてホワイト企業・新生ワタミをつくりあげてゆけるのか、同グループの動向が注目されます。

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