学校統廃合案にママ反発 二宮で小中一貫導入説明会

未就学児の保護者を対象にした小中一貫教育導入の意見交換会 =11日午前、二宮町生涯学習センター「ラディアン」

 二宮町教育委員会が打ち出した町立小中学校5校を小中一貫教育学校2校に再編統合する計画を巡り、同町教委は11日、未就学児童の保護者を対象にした意見交換会をスタートした。出席者は通学区域の拡大に「遠くなる小中一貫校より近くの普通校の方がいい」などと反発。森英夫教育長は当初の計画案にこだわらないとし、事実上「白紙」とすることを示唆した。

 町教委が5月にまとめた計画案は、現在の一色小が山西小と二宮西中を、二宮中が二宮小をそれぞれ吸収する形で、2030年度までに小中一貫教育校2校へと統合するとしている。

 初回の意見交換会には、町内の保育園などに子どもを通わせる保護者ら11人が参加。町教委の担当者は「小学校と中学校の教員が連携し、9年間のスパンで子どもを育てていくことができる」と小中一貫教育のメリットを強調した。

 しかし、通学距離が2キロ以上になる山西小学校区の出席者から反発の声が相次いだ。ある保護者は「再編計画案が出されて以降、地域で閉塞(へいそく)感が漂っている。町が進める移住促進策にも反する」と批判。別の保護者も「地域は今、混乱している。納得できる説明がほしい」と求めた。

 学校が残る地域の保護者からも「通学距離が延びて、子どもの安全に不安を抱くのは同じ母親として理解できる。小中一貫教育導入は学校の場所を考えてからにしてほしい」といった声が続出。スクールバス導入を求める意見もあった。

 とりわけ廃校となる地域の反発が強かったことを受け、森教育長は「2校への統合は現状で難しいと考えている」との見方を表明。再編の組み合わせについて再検討しているとした上で、「今ある三つの小学校区を大切にしたい」として5校を3校に統合する可能性も示した。

 町教委は年内を目標に新たな計画案を複数用意。改めて説明会を開催し、年度内の計画策定を目指すという。次回の保護者向け説明会は20日午後1時から、町民センター(二宮町二宮)で行われる。

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