〈特集〉知立の防災を考える『命を守る準備できていますか。』(4)

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◆南海トラフ地震から地域と家族を守るために

名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授に南海トラフ地震と西三河地域の被害についてお話を伺いました。

地球は卵のような構造で、黄身の核、白身のマントル、殻のプレートでできています。そして、プレートが10数枚に分かれていて、それぞれがばらばらに動いています。日本は、4つのプレートがぶつかる世界でも珍しい場所にあります。私たちの住む南の太平洋の下には、南海トラフという深い溝があります。トラフとは海溝より浅い溝のことです。ここでは、南から移動してきた海のプレートのフィリピン海プレートが陸のプレートのユーラシアプレートの下に沈み込んでいます。沈み込み始める場所にできた溝が南海トラフで、東は駿河湾から西は宮崎県沖まで広がっています。
南海トラフ沿いでは、100年~150年の間隔で巨大地震が起きてきました。
これを南海トラフ地震と呼びます。最近の3つの地震は、1707年宝永地震、1854年安政地震、1944年昭和東南海地震・46年南海地震です。海の地震なので、揺れに加えて津波も襲ってきます。東南海地震では西三河でも、碧南市や西尾市を中心に多くの被害が出ました。近くの半田市では、中島飛行機の山方工場がつぶれて、多くの学徒たちが命を落としました。
南海トラフ地震の前後には、内陸で沢山の地震が起きます。東南海地震の37日後には三河地震が起き、幸田町や西尾市・安城市を中心に2千人を超える犠牲者を出しました。当地は、戦争末期に2つの震災と戦災を経験することになりました。
西三河地域は、海に面した場所で津波や浸水の危険性があり、矢作川流域の軟弱な地盤は強い揺れや液状化の危険が、北の中山間地では土砂崩れや孤立の危険性があります。
そういう意味で、西三河の中心にある知立市は平坦な台地が広がるので、比較的安全な場所です。ただ、逢妻男川周辺は液状化の心配があり、木造密集地域は火災の心配があります。
また、交通の要衝なので、帰宅困難者の発生も心配されます。
南海トラフ地震の被害は、東日本大震災のそれを遥かに上回ると予想されます。残念ながら、他地域からの支援は余り期待できません。行政の力にも限界があります。ですから、自らの命は自ら守り、隣近所で助け合う、といった自助と共助が基本になります。家族の命を守るには、家が壊れないように、塀が倒れないように、家具の下敷きにならないように対策することです。つぎに、電気、ガス、水道が止まっても生きていけるよう最低限の備蓄をし、さらに、災害後に、皆さんで助け合い、逞しく回復する力を持つことが大切になります。「備えあれば憂いなし」で「災い転じて福となす」知立市を目指していきましょう。

▽名古屋大学減災連携研究センター長
福和 伸夫教授