【ラグビーW杯】 日本、初の決勝トーナメント進出 スコットランド破り1次リーグ全勝

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ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は13日、横浜国際総合競技場で1次リーグA組の試合があり、日本(世界8位)が28-21でスコットランド(同9位)を下し、悲願の決勝トーナメント初進出を決めた。

日本は4トライを挙げボーナスポイントも獲得。勝ち点を19にのばし、A組を1位で突破した。

台風19号の影響で実施が危ぶまれていた試合は、整列した両チームの選手たちが台風の犠牲者に黙禱(もくとう)を捧げて始まった。

BBCスコットランドのトム・イングリッシュ記者は、「死と破壊をもたらしたひどい土曜日を経て、そもそもこの試合が実現したこと自体、小さいな奇跡だった。24時間前には台風ハギビスに襲われたこの地域を見事に片付けて準備した人たちを、熱烈に絶賛するものだった」と書いた。

南アフリカと準々決勝

「ティア1」と呼ばれるラグビー伝統国以外のチームが決勝トーナメントに進むのは、2007年大会のフィジー以来。W杯史上4回目となる。

日本は20日に東京スタジアム(東京都調布市)で、B組2位の南アフリカと準々決勝を戦う。

スコットランドは1次リーグ敗退となった。W杯でベスト8に残れなかったのは2011年大会以来で、これが2回目。

スコットランドが先制

スコットランドは日本との通算成績が10勝1敗。前回W杯では1次リーグで日本を破り、日本の決勝トーナメント進出を阻んでいた。

そのスコットランドが順調な滑り出しを見せた。

前半6分 スコットランドのSOフィン・ラッセルが日本のディフェンス陣をかわして走り込んでトライ。コンバージョンキックをSHグレイグ・レイドローが決め、7-0と先制した。

スコットランドは序盤から日本のボールを奪うターンオーバーを次々と成功させた。

一方の日本は前半15分、ペナルティキックを得てSO田村優がゴールポストまで約45メートルの位置から狙ったが、距離が足りず失敗。得点できない時間が続いた。

日本が3連続トライ

しかし前半17分、ついに日本がトライを決めた。

WTB福岡堅樹が左サイドを駆け上がり、タックルを受けると倒れながらオフロードパスをWTB松島幸太朗につなぐと、松島はゴール中央左に駆け込んだ。田村がコンバージョンキックを決め、7-7に試合を戻した。

日本はさらに前半25分、松島の相手ディフェンス突破から、HO堀江翔太、LOジェイムス・ムーア、FBウィリアム・トゥポウが連続でオフロードパスをつなぐと、最後はPR稲垣啓太がゴールポスト中央に代表初のトライ。田村がコンバージョンキックをしっかり決め、14-7と逆転した。

BBCのイングリッシュ記者は、「(日本の)2つ目のトライは壮大なものだった。驚異的なラグビーの産物だった」、「ただひたすら純粋に、まったくの天才」と書いた。


勢いづいた日本は前半39分にも、追加点を奪う。CTBラファエレ ティモシーがゴロのキックを前に蹴り出すと、高く跳ねたところを福岡が右手を伸ばしてキャッチ。そのままディフェンスを振り切って、ゴール左にトライを決めた。

コンバージョンキックも田村が成功。21-7とリードを広げ、ハーフタイムに入った。

後半早々にトライ追加

後半に入ると、いきなり日本のビッグプレーが出た。

再開2分、福岡がハーフラインを越えた付近で、相手選手が持つボールを奪取。そこから目の覚めるようなスピードで相手ディフェンス陣を振り切り、ゴール中央に滑り込んだ。日本にとって4つ目のトライで、ボーナスポイントを獲得した。

田村が確実にコンバージョンキックを決め、スコアは28-7と大きく差がついた。

7点差に詰め寄る

しかしここから、スコットランドは地力を見せつけた。

後半9分、スコットランドはパスをつないでじりじりとゴールに迫り、最後はPRウィレム・ネルが押し込んでトライ。レイドローがコンバージョンキックも決め、14-28とした。

さらに後半14分、スコットランドはオフロードパスをつなぎ、ザンダー・フェイガーソンがトライ。コンバージョンキックも決まり7点差へと詰め寄った。

緊張のラスト数分

後半はこの後もほぼ、スコットランドが主導権を握り続けた。日本からボールをたびたび奪い、サイドを突き、ライン攻撃を幾重にも繰り返し、ゴールに迫った。

だが日本はこれを必死に押し戻した。低いタックルで早めに相手を倒し、攻撃の流れを断ち切った。

時間が経過していく中で追い詰められたスコットランドは残り2分、左サイドゴール手前5メートルでマイボールのスクラムを獲得。フォワードが突進を図るが、日本はこれを跳ね返し、残り1分でボールを奪った。

何としてもボールを奪い返そうとするスコットランドの選手と激しく体をぶつけ合いながら、日本はボールをつないだ。観客席からのカウントダウンの大合唱が沸き起こり、それがゼロを迎えた直後、日本はボールをタッチに蹴り出した。

ノーサイド。日本ラグビー史に大きな足跡を残した瞬間だった。

「一段上のレベルに」

日本のジェイミー・ジョセフ監督は試合後、「日本全体にとってどれほど特別な瞬間だろうか。まずは台風で家族を亡くした人々にお悔やみを伝えたい。そのことを今日チームで話し、ものすごい闘志につながった」と述べた。

さらに、「今夜、このチームは次のレベルへと上がった。選手たちは全力を出し切った。日本のラグビーは世界的には敬意をもたれていたが、日本人はタフな場面では自分たちを必ずしも信じてこなかった。でもこの4試合で、自信をもつことができた」と語った。

一方、スコットランドのグレゴー・タウンゼンド監督は、「とてもがっかりしている。日本にとって大きな試合なのは分かっていた。会場の雰囲気は本当にすばらしかった。この雰囲気の中で負けチームにはなりたくなかった。ハーフタイム直前にトライを取られ、勝利が難しくなった。7点差まで迫った選手たちの努力は見事なものだった」と話した。

さらに、「出だしは攻守ともよかったが、その後、前半はほとんどボールをキープできなかった。私たちのミスもあったが、こちらがボールを持ったときの日本のプレーにもやられた。58分が経過した時点で7点差に迫ったが、勝利には届かなかった。(1次リーグ敗退は)もちろん大きなショックだし残念だ」と振り返った。

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