居酒屋・さくら水産、「500円ランチ」一部終了の衝撃

居酒屋チェーン「海産物居酒屋 さくら水産」が、ランチタイムに500円(税込み、以下同)で提供していた「日替わり定食」を、一部店舗で取り扱いを終了していることがわかりました。

対象となる店舗は、さくら水産の全35店舗のうち約半数。500円の定食の取り扱いをやめ、丼ものや刺身を中心としたメニューに切り替えています。

ワンコインでお腹いっぱい食べられることから、一部のビジネスパーソンなどに人気だった日替わり定食。なぜランチメニューを変更することになったのでしょうか。運営元のテラケンに取材しました。


「おかわり自由」が人気のさくら水産ランチ

10月上旬、東京・原宿のさくら水産を訪れたTwitterユーザーが、ランチメニューの改定を知り、次の投稿をして話題になりました。

「さくら水産の原宿店に行ったら、伝統の500円ランチが600円になってた。ご飯、味噌汁、玉子食べ放題でワンコインはさすがにキツかったか・・・」

さくら水産の日替わり定食は、500円でごはんやみそ汁がおかわり自由で、店舗によっては生卵、お新香も食べ放題。昼食費をワンコインに抑えつつ、満腹になりたいユーザーに人気でした。

記者が実際に原宿竹下通り店を訪れると、店の前に置かれたランチメニューの看板には「本日の日替わり定食」(600円)の文字。シールを上から貼って、価格を変更した跡があります。

「本日の日替わり定食」の食券(この日は限定20食の「サーモン刺身」)を購入後、ホールスタッフに手渡して料理を待っていると、他のテーブルに座っていた20代と見られる男性客4人組がごはんのおかわりを注文。しかし、スタッフが「システムが変わってしまって……」と説明すると、「えー!ごはんおかわり無料じゃなくなったんですか?」と残念がっていました。

この店舗では、ごはん、みそ汁などがおかわりが不可になった代わりに、ごはんの大盛りは無料になったようです。

地域ごとのニーズに合わせてメニューを改定

一部店舗で500円の定食を終了した理由について、さくら水産を運営するテラケンの広報担当者に取材すると、9月8日から秋冬メニューを改定した一環で、ランチメニューも順次変更している、といいます。

さくら水産では、2年ほど前から複数店舗で、500円定食以外に丼ものメニューなどの提供を試験的に開始。地域ごとに需要と供給のバランスを見極めながら、メニュー構成を変えてきました。

「今までは金太郎飴みたいにどの店舗でも500円ランチがメインでしたが、土地土地によってお客様の層やニーズがまったく違うと数値的な傾向が表れたので、それに合わせてメニューの改定をしました」(前出の広報担当者)

9月8日からのメニュー改定によって、12店舗が500円の「日替わり定食」を終了。新たに600円の定食メニューの提供を始めたのは、原宿竹下通り店、立川駅前店、西日暮里駅前店、日暮里北口店、鶴見東口店、平塚北口店などです。

しかし、600円の定食を提供している店が一律に、ごはんやみそ汁のおかわり自由をやめたわけではなく、店舗ごとに対応は異なるとしています。

丼ものメニューで海産物をアピール

従来の日替わり定食には、肉を使った揚げ物もありましたが、今回のメニュー改定で「海鮮まかない丼」や「まぐろ丼」といった丼ものメニューを投入するなど、海産物を前面に出してアピールしています。ランチの価格帯は500〜890円(店舗ごとに商品価格は変動)へと上昇しました。

「鮮魚を中心に扱っている居酒屋ですので、海産物を中心にメニューを切り替えました。実際に客足は伸びていて、丼ものが非常に好調です。求められているのが揚げ物ではなくて、海産物というのが改めてわかりました」(前出の広報担当者)

さくら水産をめぐっては、3月に和食レストラン「湯葉と豆腐の店 梅の花」などを展開する梅の花が買収を発表。その際に発表されたIR資料によると、テラケンの経営成績は2018年2月期の売上高が約52億円、本業の儲けを示す営業利益は2億6,500万円でした。2019年2月期の業績見込みは、売上高が約35億円、営業利益は7,300万円としていました。

同チェーンは100店以上を運営していたこともある、低価格な海鮮居酒屋の先駆け。梅の花による子会社化によって「鮮魚の仕入れに関してはシナジーが起き始めようとしている」(同)といいます。海鮮への回帰で、再び人気を取り戻すことはできるでしょうか。

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