モンゴルの孤児施設でサッカーイベントを開催!

『KAZUTAKA OTSU 蹴球サロン』のプロジェクト第2弾として、モンゴルの孤児施設の子供達向けにサッカーイベントを開催。

孤児施設に預けられている子供達を取り巻く環境は、とても厳しい現実が存在します。まずは、その事実をより多くの方に知っていただくことが必要だと思い、ゴラッソ内での記事として、シェアさせていただきました。イベント当日の様子や、子供達の取り巻く環境についての詳細をご紹介します。

ゴラッソ読者の皆さま、こんにちは。モンゴルリーグのFCウランバートルでプレーしている大津一貴です。

2019年10月7日、モンゴルの首都ウランバートルにある孤児施設『Erdem Center(エルデム センター)』の子供達20名を対象に、サッカーイベントを開催しました。本イベントは、『KAZUTAKA OTSU 蹴球サロン』のプロジェクトとして9月に行った、ウランバートルでの”無料サッカー教室”の反響を受けて、開催に至りました。「是非、サッカーイベントをもう一度開催して欲しい!」という主旨の言葉を、現地の方々から多く掛けていただき、再度サッカーイベント開催に踏み切った次第です。

前回の無料サッカー教室については、以前もゴラッソ内でご紹介させていただきました。

モンゴルでのサッカー教室、無事に開催!(蹴球サロン・プロジェクト) サッカーの面白ニュース見るならGolaco

前述ような経緯で開催した、孤児施設の子供達向けサッカーイベントですが、まずは子供達の取り巻く環境をご紹介したいと思います。

子供達が集団生活を送っている施設は、ウランバートルの中心地から約14km離れた場所に存在します。その場所は、通称「ゲル地区」と呼ばれ、貧困層が多く暮らす地区とされています。同じウランバートル市内でも、中心地の歓楽街とは全く違う光景が広がっています。更に、施設がある場所はウランバートル市内でも特に治安が悪いと言われている場所で、スリや軽犯罪は日常茶飯事という場所です。

子供達が暮らす『ゲル地区』の様子。市内中心部とは違い、ゲル(テント式の家)や簡素な戸建て住宅が建ち並ぶ。道路も舗装されていない砂利道が多く、夜は軽犯罪が横行している地域。

このような環境の中で暮らす子供達。今回お世話になったエルデムセンターでは、3歳~20歳の子供達が同じ屋根の下で寝食を共にしています。子供達は、様々な理由で親や保護者がおらず、施設に預けられています。3歳までの子供に対しては、国の保護施設があるようなのですが、3歳になるとその施設を出なければならず、地域の保護施設が引き取るようです。

私が今回一番驚いたことは、エルデムセンターのような保護施設に対して、国からの援助などは一切存在せず、企業や個人の寄付などによって施設運営が行われていることです。そのため、資金面で多くの問題が存在するようです。子供達が学校で使用する教科書代が足りないこと。成長に合わせた衣類を購入できないこと。極寒の冬場を乗り切るための暖房代や防寒着が足りないこと。様々な問題が存在します。また、施設に預けられた子供達の中には、精神面での不安を抱える子も多く、学校が無い祝日にカウンセリングを受けている子もいるようです。

このように、何も罪の無い子供達が、生まれた時から厳しい現実と向き合わなければならない環境が、モンゴルには存在しています。今回のイベント開催前は、「子供達に対して自分は、一体何ができるのか…」という部分で、物凄く悩みました。

しかし、私が一番得意なことは、良くも悪くも『サッカー』です。私の力不足ではありますが、子供達に対して今すぐに金銭的なことを解決してあげられる力は残念ながらありません。ですが、「一番得意なサッカーを通じて、子供達と共に楽しい時間を共有することはできそうだ。」と、考えました。そのような思いから、今回のイベント開催に至りました。

イベント当日は、子供達が暮らす施設から徒歩圏内の体育館をレンタルして利用しました。夕方17時過ぎ、学校を終えた子供達が体育館に集まり、早速サッカーイベントを開始。初めは緊張気味だった子供達も、時間の経過と共に少しずつ笑顔が増えてきました。

生まれて初めてサッカーボールに触れる子供も多く、初めは上手くボールを扱うことができなかった子供達でしたが、最後に行った試合では、全員が一生懸命ボールを追いかけている姿が印象的でした。ゴールが決まると、子供達は大喜び。サッカーを通じて、楽しい時間を共有することができたと思います。

試合終了後は、イベントで使用したサッカーボールを子供達に寄付しました。「これからも子供達の笑顔を引き出してくれるように!」と、サッカーボールが今後も活躍してくれることを願って、子供達に直接手渡しました。

全員で記念撮影を行った後は施設へ移動し、子供達と一緒に夕食タイム。当日の朝から私と妻で『おにぎり』『豚汁』『たまご焼き』これらを人数分作り、施設へ持参しました。子供達の口に日本食が合うか不安でしたが、おにぎり・豚汁・たまご焼き、全て大人気。子供達は美味しそうに全ての食材を完食してくれました。

また、食事の準備から後片付けまでを、年上のお姉さん達が全て率先して行ってくれたおかげで、私達は食事をする姿を見守っているだけで大丈夫な状況でした。サッカーイベント中を含め、気配りができる年上グループの子供達の姿勢に、私は心を打たれました。

最後に、子供達とお別れの挨拶をして、当日のイベントは無事終了。子供達は全員笑顔で見送りをしてくれました。また、寄付したサッカーボールで早速遊んでいる男の子も居て、今回のイベントを開催して本当に良かったと思いました。

今回のイベントを通じて、子供達と楽しい時間を共有することはできたと思います。ですが、先にも説明させていただいた通り、子供達の取り巻く環境はとても厳しい現実が存在しています。

平和な日本で生まれた私にとっては、生まれたときから親が居て、当たり前のように学校に通い、当たり前のように自分の好きな服を着て、当たり前のように大好きなサッカーをしてきました。しかし、私達日本人が当たり前のように送ってきた生活を送ることが、当たり前ではない環境も世界には存在します。今回、縁があって一緒にサッカーをしたエルデムセンターの子供達にはもちろんのこと、孤児施設のような場所で暮らす子供達のために、今後もサッカーを通じて自分ができることを継続していきたいと思います。

今回の活動は、前回のサッカー教室同様、『KAZUTAKA OTSU 蹴球サロン』の売上で運営しました。今後も、今回のサッカーイベントのような活動を継続すべく、蹴球サロンに参加してくださる方を随時募集しています。是非、下記リンクよりご参加下さい。(参加されますと、今回のイベントに関することをはじめ、過去の記事を全て閲覧することができます。)

また、私の思いに賛同してくださった方々のご協力があり、本イベントを開催することができました。皆様、本当にありがとうございました。最後に、この場をお借りして、ご協力いただいた皆様をご紹介させて頂きます。

●協力者一覧

・一般社団法人シティフットボールクラブ

・株式会社スポトレンド

・NPO法人SSSスポーツクラブ(SSS札幌サッカースクール)

・株式会社ナンシンデザイン

・KAZUTAKA OTSU 蹴球サロン、メンバーの皆さま

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