駅前商業施設が営業不振 スーパー跡地活用も、再生へ市民の声活用  

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直営店の経営が影響し営業不振が続いている「えきまちテラス」

 営業不振が続く商業施設「えきまちテラス長浜」(滋賀県長浜市北船町)を運営する同市の第三セクター「えきまち長浜株式会社」が再生へ向け動き出した。今夏閉店したカフェレストランは、子育て応援カフェとして再スタート。閉店中の農産物市場マルシェ跡も11月中の営業再開を目指し、事業案の絞り込みを急ぐ。湖国有数の観光地「黒壁スクエア」に続くにぎわいづくりに成功するのか、市民の熱い視線が注がれている。
 えきまちテラス長浜はJR長浜駅前のにぎわい創出を目的に、スーパー平和堂跡地に2017年7月に開業した。4階建て延べ床面積5千平方メートル。飲食店や学習塾など15店舗が入居する。
 年間200万人が訪れる「黒壁スクエア」に近く、当初、利用者の目標を月間4万人に設定。直営のレストランとマルシェも好調な滑り出しを見せた。だが、客が通り抜けてしまう内部の構造的欠陥や、近隣の商業施設スーパー「平和堂モンデクール」と差別化できず、売り上げが減少した。民間出身の町井義秀代表取締役副社長は「直営店の運営は難しく、百貨店でもテナント化する傾向にある。物販中心で人件費の負担が大きかった。反省を踏まえ、市民のニーズに合ったサービスを提供したい」と話す。
 直営店の経営が影響し、17年度は純損益6600万円、18年度も6100万円の純損失で2年連続の赤字に陥った。こうした事態に株式の68%を出資する市も要請に応じ、これまでに2億4500万円の補助金や負担金を投入してきた。
 市民からは「経営意識が足りない」「さら地にして広場や駐車場にしては」など厳しい意見が聞かれる。一方で「駅前の地の利を生かした施設に、市民の知恵を集めて再生しなければ」など前向きな意見も多い。
 同社はこれまで、2度にわたり経営改善計画を策定してきた。19年6月には、経営パートナーによる店舗運営や直営店舗の廃止など経営効率化を盛った再生ロードマップを作成。21年度に安定経営の軌道に乗せることを目指している。
 今年8月には直営店舗跡と広場の活用策を市民から募集した。町井副社長は「多くの意見をくみ上げ、市民が本当に必要とする場所に進化させたい」と狙いを語る。提案は計230件あり、子育て支援▽観光情報発信▽学習、文化、芸術▽飲食、衣料店-などの案が寄せられた。
 10月1日には公開討論会が開かれ「市内全域の観光に行ける方法が分かる玄関口に」「長浜だけにあるような施設にすべき」「イベントを行い人が集まる場所に」「レンタサイクルステーションを設けては」など活発な意見交換がなされ、再建の兆しも見えかけてきた。
 ただ、総務省によると、経営悪化からここ10年で1400社を超える「三セク」が淘汰(とうた)され、出資する自治体にとってリスクとなっている。三セクの財政問題に詳しい宮脇淳北海道大公共政策大学院教授(行財政論)は「株式会社である以上、収益性の高い事業をまず誘致し、その利益で公益的事業を行うべき」と指摘する。
 文字通り「長浜の顔」となる可能性を秘めた商業施設。官民パートナーシップの成功例となるのか、経営手腕が試されている。