「僕は海洋散骨がいい」多様化する“お墓事情”(JINSEIのスパイス!第48回)

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【今週の悩めるマダム】

そろそろ人生の終わりが見えてきました。このまま父が入る家族のお墓に自分が入ることになれば、その後、子どもたちがお墓の管理をし続けなければなりません。そこで「墓じまい」をしたいと考えていますが、先祖を粗末にするとバチが当たるかもしれないと思ってしまい、どうすべきか悩んでいます。(大阪府在住・80代女性)

僕ももうすぐ還暦になりますし、母がちょうど奥様と同世代ですから、他人事ではありません。

最初に、僕自身の死についての考え方から少しお話をさせてください。僕にとってお墓とは“残された者たちのための祈りの場所”です。死んでいく人たちはこの世を去るのですから、彼らは墓に残るわけではなく、実際には残された家族の心に残るのです。愛した家族のそばにずっといたいからこそお墓を作り、そこに会いに行くというものだと幼いころから思ってきました。実は祖父が一族の骨を粉にして、骨の仏像を作ったのです。この骨仏は今も福岡の勝楽寺にあります。この話については拙著『白仏』に譲りますが……。その祖父の影響もあり、ぼくは幼いころから人間の魂について考えてきました。

その中で僕なりの結論を得ています。「もしもの時があったら墓は作らないでほしい」と僕は息子に言い続けています。僕の骨は粉末になるくらい強い火力で焼いて、残ったものは海に撒いてくれと頼んでいます。僕が息子とよく2人で訪れる海があるのです。「海に散骨すれば、いつでもパパと会えるよ」と教えてきました。息子はよく理解してくれています。離婚の後、僕らは世界中の海を旅してきました。2人の年齢差は45歳、どんなに僕が頑張って生きても長く一緒にはいられないのは明白です。ですから、フランスで生きる彼が僕の魂にすぐにふれられる場所に埋葬されたいわけです。ハワイなど、国や地域によっては散骨業者を通して海に撒くことが法律で認められています。そのことは拙著『日付変更線』で詳しく書きました。

さて、奥様の場合ですが、永代供養というのをご存じですか? お墓の継承者がいない方も多く、今のような時代は無縁仏も増えています。要は継承できる人が何代まで続くか分からないのが実情なのです。考えてもみてください。地球上には77億以上の人間がいます。全ての人間に墓を作り続けることは不可能でしょう。これが現実でもありますし、永代供養というのは寺院や霊園が継承者にかわって数世代の間(実際にはこれも難しいかもしれませんが、その寺や霊園により一定期間)、管理や供養をしてくれるお墓のことです。結婚しないで一人暮らしを選ぶ方も増えています。お子様のおられない方、いても管理を期待できない関係もあるでしょうし、子孫に迷惑をかけたくないと思う奥様のような方々、といろいろです。何がベストかは人それぞれだと思います。

僕の知り合いに問い合わせたところ、永代供養にかかった費用は総額で30万円程度とのことでした。これがベストの選択かどうか、ご家族とよく話し合ってみてください。生きているうちから、人生の後始末を考えることは子孫への思いやりだと思います。そして、愛した死者を忘れないことが一番の先祖への供養になります。

【JINSEIの格言】

「パパは土の中に入りたくないんだよ。パパの性格をお前は知っているだろう? ずっと自由でいたい。だから法律に則って青い海に撒いてほしいんだ」。息子には、そう言い続けています。

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