【台風19号】記録的暴風雨 死者、県最多の6人 相模原

道路が冠水して動けなくなった乗用車=13日午後1時55分ごろ、相模原市緑区若柳の国道412号

 記録的な暴風雨を観測した台風19号は、神奈川県相模原市にも甚大な被害をもたらした。15日現在、死者は県内最多の6人に上り、住宅被害や道路の寸断、停電・断水なども緑区を中心に相次いだ。台風通過から3日たった今も、住民生活に大きな影響をもたらしたままだ。

 市危機管理局によると、死者は現時点で6人。総雨量(約770ミリ)、時間当たりの最多雨量(87ミリ)とも、市内最大となった緑区だった。

 同区の牧野地区では、土砂で倒壊した住宅から75歳の女性が見つかり、死亡が確認された。青山地区の串川では、川沿いの道路が崩れて軽乗用車が転落、乗っていた一家4人が15日までに遺体で見つかった。串川は12日午後8時10分に、最高水位が氾濫危険水位(2.4メートル)を上回る2.75メートルに達したという。

 住宅や道路、ライフラインも、緑区を中心に被害が相次いでいる。

 市危機管理局が15日午後1時現在でまとめた資料によると、土砂崩れで8棟が全壊し、6棟が一部損壊。また浸水被害は、床上が5棟、床下が老人施設1棟を含む9棟だった。

 崖崩れは67件起き、同区の青野原地区では約20世帯が一時孤立した。

 道路の被害は崩落や亀裂、冠水、土砂流入など市内全体で計203件に上った。土砂崩落などで国道413号の一部区間などが通行止めになっており、規則が解除されていない区画も26カ所に上る。

 ライフラインでは、12日午後から13日未明にかけて同区で停電が相次ぎ、鳥屋や青根などの地区では15日午後1時現在、復旧していない。停電に伴って浄水場が停止するなどし、約1600世帯で断水した。

 串川地域センター(同区青山)では15日、給水車が稼働、タンクを持った住民が断続的に列をつくった。ホースを伝って水が勢いよく出ると、安堵(あんど)の表情を見せる住民もいた。近くに住む女性(75)は「台風以来、水道が止まったまま」と疲れた様子を見せ、別の女性(89)も「水がなく、大変な思いをしている」と言葉少なく話した。

 市は今回の台風に備え、84カ所に避難所を開設。最大で計6112人が避難した。その一つ、藤野農村環境改善センター(緑区牧野)は今も開設しており、付近住民16人が身を寄せている。

 市教育委員会は、鳥屋、青野原、青根、藤野北、藤野南の市立小学校5校、青野原、藤野の市立中学校2校を16日も休校にする。

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