社説(10/16):台風19号と堤防決壊/もろさを露呈 避難が先決

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 台風19号のもたらした集中豪雨によって、洪水が発生し、東日本を中心に被害は極めて広範囲に及んでいる。

 孤立している集落の救済と一刻も早い復旧が待たれる。国や自治体などは緊密に連携して救助活動に当たってもらいたい。

 今回の台風被害では、数多くの河川で堤防がもろくも決壊した。中下流域は水浸しとなり、ここまで水は来ないと見て逃げ遅れた住民が巻き込まれる事態になった。

 昨年の西日本豪雨を受け、強い国土づくりの掛け声の下、最新テクノロジーを駆使した河川堤防を整備しているさなかだった。

 宮城、福島両県を流れる阿武隈川、長野県の千曲川など日本を代表する河川で堤防が決壊したことをみても、想像を超える雨量には太刀打ちできないと分かる。

 国などは決壊箇所の回復を急ぐとともに、耐久力の強化や古くなった堤防の点検などに目配りしてほしい。

 堤防やダムの役割について、日ごろから住民の理解が進むよう意識を高める活動も求められよう。住民も教訓として胸に刻んでおきたい。

 国土の7割が山地である日本では川の流れが急で、古くから洪水を治める堤囲いなどが図られてきた。

 近代になって堤防の建設には技術の粋が集められた。堤防の高さを決める際、洪水につながるほどの雨量が発生する確率と水量を計算する。

 ダムや遊水池での貯水なども勘案した上で、安全に流せる最大の流量を導いて高さを決めるとされる。

 しかし、今回のように複数の支流からも流れ込み、堤防を越える「越水」が起きると、越えた側の土塁などが浸食されていく。

 不安定になった堤防はてっぺんから崩れて決壊する。一般に決壊の原因は「越水」によるものが7割とされ、千曲川の映像を見てもその様子がうかがえる。

 水が堤防を越えたら、水流が緩くても最大の危険が近づいていると認識し、避難行動に移っていただきたい。

 ダムの緊急放流という、あまり耳慣れない言葉に戸惑った人も多いのではないか。関東を中心に6カ所のダムで行われた。

 貯水量が満杯近くまで増え、決壊を防ぐために放流する。西日本豪雨では愛媛県のダムで放流した後、下流で氾濫が起きて犠牲者を出した。

 その教訓から、ダム管理者から自治体への予告を前倒しする対応を取ったものの、何度か時間を変更するなどの不慣れが目立った。

 そもそも放流による下流への影響などの情報が不足している。通告だけを連呼すれば不安を広げかねない。

 災害のたびに新たな課題が見つかるのも、ここ数年の傾向だ。全容が見え始めた時点で検証を行い、次の事態に備えたい。