長崎県の問題解決や産業振興へ デンソーウェーブ 長崎で立地協定

立地協定調印後、握手を交わす杉戸会長(左から2人目)ら=長崎市南山手町、ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル

 産業機器メーカーのデンソーウェーブ(愛知県阿久比町)は15日、長崎市内への研究開発拠点新設に向けた立地協定を県、同市と締結した。顔認証QRコードを活用したクルーズ船の乗客管理など、本県の問題解決や産業振興につながる製品を開発し、世界に売り込む方針を示した。

●研究開発拠点設置へ
 同社は自動車部品大手デンソー(愛知県刈谷市)の子会社で、産業用の小型ロボットやコントローラー、バーコードなどの自動認識機器を開発・製造。1994年にQRコードを開発し普及させた実績がある。本社に次ぐ2カ所目の研究開発拠点とするのが「長崎ソリューション開発センター」。長崎市出島町の出島交流会館内に11月に準備室、来年4月に事務所を設置する。5年後にはIT技術者を中心に30人態勢にする予定。
 会見では長崎での事業化候補を発表した。顔写真データをセキュリティー機能付きQRコードに格納する技術を、長崎港に多数寄港するクルーズ船の乗客管理に活用。時間や人手を要している入国手続きなどを円滑かつ安全に行い、寄港率アップにつなげる。このほか、路面電車の事故を防ぐレーダー式障害物検知装置や、QRコードによる水産物のトレーサビリティー(生産流通履歴)などを挙げた。
 中村法道知事、田上富久市長と調印後、握手を交わした杉戸克彦会長は「世の中の役に立つビジネスを長崎で創出する。まずは地元に貢献し、そこから世界に発信したい」と意欲を述べた。

© 株式会社長崎新聞社