「IRは将来を束縛」 横浜市会委で静岡大教授、慎重な判断要求

 横浜市会政策・総務・財政委員会は15日、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に関し、静岡大学の鳥畑与一教授を参考人招致した。鳥畑教授はいったんIR事業者と実施協定を結ぶと「自治体の将来を大きく束縛する」として、「慎重な判断」を求めた。

 日本型IRはカジノを集客装置とし、客がカジノで負け続けることでしか繁栄できないビジネスモデルだと説明。「IRに依存したまちづくりが持つリスクの大きさを、しっかり認識しなければならない」と訴えた。

 また横浜市がIR誘致により年間最大1200億円の税収効果を見込んでいるのに対し、鳥畑教授は、実現には単純計算で8千億円ほどのカジノ収益がなければならず、シンガポールのIR3個分に上る規模のカジノが必要との持論を展開。「そうした施設を、横浜のど真ん中に造ることの影響を考えるべき」と述べた。

 経済効果の一方で失業や犯罪、ギャンブル依存症などの対策にかかる社会的コストは、自治体の負担になるとした上で「マイナス面も含めて総合的に評価しなければならない」と指摘した。

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