世界最大のフットボールクラブ運営シミュレーターとして知られている、『Football Manager』。
ゲーム上の能力査定に関わるスカウトは世界51か国に1,300人もおり、70万人近いデータを保有している。選手やフットボール関係者にも愛好者が多く、ゲーム上のデータが実際のスカウディングにも利用されるほど。あのアンドレ・ヴィラス=ボアスもチェルシーのスカウトだった時代に『FM』を利用していたことを認めている。
その『FM』を極めたゲーマーが実際のサッカーチームに雇われるという出来事があった。『Sportbible』が伝えている。
22歳のアンドレイ・パヴロヴィッチさんは、自分の『FM』上のデータをセルビア2部チームのFKベジャニヤに送信。その結果、実際の仕事をオファーされたとか。
アンドレイさんは、ゲーム上で16年かけてFKベジャニヤをチャンピオンズリーグ準決勝進出に導いた。ゲーム上では、マンチェスター・シティ、トッテナム、バイエルン・ミュンヘンなどを撃破したほか、リーグ10連覇、6度のカップ戦優勝も達成。
一方、実際のFKベジャニヤは財政難のために2部降格中。クラブはアンドレイさんにデータアナリストとしての職をオファーしたんだそう。
アンドレイ・パヴロヴィッチ
「自慢するつもりはないけれど、僕はFM界ではちょっとした伝説さ。
FM上の成績をクラブに送って、自分はチームを助けることができるはずと伝えた。
電話が来るとは思っていなかったよ。
フレンドリーな会話をしただけで、クラブディレクターから分析するために土曜日の試合に来られるかを聞かれたんだ。
手助けできるかもしれないと言ったけれど、お呼びがかかるとは思っていなかったよ。
本当に信じられなかった。驚いたけれど、彼らは財政的に厳しい状況にあるので、無償でできるかを聞かれた」
その試合のレポートを読んだクラブ側は感銘を受け、U-21の試合のレポートも頼んできたそう。
アンドレイ・パヴロヴィッチ
「U-21チームは彼らにとって本当に重要だ。
機会があれば、フットボールの世界でスカウトやデータ分析を是非ともしたい。
長年の夢だったものだし、自分がとても得意なものでもある。
今は給与を得ていないけれど、このクラブとこの仕事が大好きなのでやっているんだ。
将来的に大好きなことをしてクラブから給与を得られるようになることを願っている」
ただ、彼は医学の学士も持っているんだそう。ゲームだけでなく医学も極めてしまったとは恐れ入る…。