日本で1軒だけ!東京・西荻窪にある旅の本の専門店「旅の本屋のまど」を現地ルポ

旅行に関する本だけを扱うお店が西荻窪にあります。魅力的ですが、実店舗の旅の本専門店は日本でここだけ。本の種類は、ガイドブックだったり、料理の本だったり、写真集だったり、小説だったり。さまざまな形で旅したい気持ちを刺激してくれる本屋さんです。

土地柄か女性客が多い「のまど」

青く塗られたドアや、あたたかみのある色合いの木の本棚から、どこか海外の本屋さんに迷い込んだような気分になる「のまど」。店長の川田正和(かわたまさかず)さんご本人も、ノマドのように長期で旅を出たご経験の持ち主です。世界中を旅する間に、欧米には旅行専門の本屋さんがあることを知り、魅力を感じていたそう。約20年前に吉祥寺にオープンしていた「のまど」を継いで、西荻窪に移ってきて12年が経ちました。

西荻窪は小さくてユニークな個人店の多いエリアです。街めぐり、お店めぐり。散策、徘徊する人が多くいます。

旅専門店というと少しマニアックな男性客が多そうなイメージですが、のまどにやってくるお客さんは、特に女性が多いそう。街めぐりでふらっとやってくるのでしょうか。

女性に特に好評なのは、きれいな表紙の本や料理の本。地域としては、ジョージア、ロシア、イスラム系など、ちょっとひねりが効いたところが人気だとか。もちろん、元バックパッカーとおぼしき男性客が旅行記を選んでいたりします。

これは、川田さんの思い描いていたお店の姿なんだそうです。「旅行好きな人だけが来る場所にはしたくなくて。特別に旅行が好きではない人が、たまたまやってきて、お店に入ってきたことがきっかけで旅行に興味を持つ、行ってみたいなと思える場所にしたかったんです。」

たしかに、ふらっと入ったお店がきっかけで、まったく新しいワクワクが生まれるって、素敵なことですよね。旅ライターの筆者も、新たな旅人の誕生を祝福したくなります。

珍しい本や旅の話に出会う

のまどでは、新刊本だけでなく、古本の取り扱いもあります。そのため、廃刊になったりして手に入りにくいものの魅力的な本に出合える確率が高いと言えましょう。店内は、新刊本と古本で棚が分かれていることがなく、エリア別に分かれているので探しやすいです。

昔は1度旅に出れば、その間日本の情報は遮断され、連絡手段は国際電話か手紙しかなくて、久しぶりに帰国すれば空白の時期があって・・・。ところが今は海外へ旅しても、旅先のどこでも、常時ネットで日本の情報が入ってきます。そんな時代の変化が、旅行の本の流行り廃りに関わっているという話もありました。

ちなみに「若者の本離れ」と言いますが、若い人たちは結構本を買っているそうですよ。

のまどでは、月に2回ほど旅の本の著者を呼んでイベントを開催しています。旅先の写真や動画を観ながら、本には書いていないような話も聞けるチャンスです。著者や店長といった旅のプロの話を聞いて、次の旅先を決めるのもいいですね。

旅の本屋のまど

所在地:東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F

電話番号:03-5310-2627

営業時間:12:00~21:00(日曜祝日~20:00)

定休日:水曜日

URL:www.nomad-books.co.jp

[All photos by Shio Narumi]

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