【医師監修】この熱は妊娠初期症状? 頭痛がしたら風邪? 妊娠時の熱について

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この記事の監修ドクター
窪 麻由美先生
Fika Ladies‘ Clinic フィーカレディースクリニック(東京都中央区日本橋)副院長。順天堂大学医学部附属浦安病院非常勤助教。東京女子医科大学卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、順天堂大学医学部附属静岡病院などを経て、2009年に順天堂大学大学院医学研究科を卒業、博士号を取得。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、女性のヘルスケアアドバイザー

体温で妊娠がわかる?

女性の体温は月経周期に合わせて変化しています。妊娠しやすい時期などの体のバイオリズムを知るために基礎体温(朝の起きてすぐ、安静時の体温)を毎日測定されている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

月経周期にあわせて基礎体温が変化

女性の体温の周期的な変動は、女性ホルモンのバランスが変わることによって起こっています。

月経のスタートから排卵までは「卵胞期」と呼ばれ、この期間は基礎体温が低い低温相(俗に低温期ともいう)となります。この間、卵巣では卵胞(らんぽう)が成長し、エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用によって新しい子宮内膜を厚くしていきます。これと同時期、卵胞は大きくなり、卵胞が成熟するとその壁が破れて卵子が排出される「排卵」が起こります。

排卵後から次の月経までの約2週間は「黄体期」と呼ばれ、この期間は基礎体温が高い高温相(俗に高温期)となります。プロゲステロン(黄体ホルモン)の作用によって子宮内膜はさらに厚くなり、着床しやすい状態になります。プロゲステロンは妊娠を維持する、つまり、おなかの中の赤ちゃんを育てるのに適した環境を整えるように働きます。

なお、高温相と低温相の基礎体温の差は0.3~0.5度ほどです[*1]。

高温相が何日続いたら妊娠の可能性あり?

妊娠が成立しないと子宮内膜が剥がれ落ちて月経が起こります。

一方、妊娠が成立した場合はプロゲステロンの分泌が続くために月経は起こりません。そして基礎体温が高い高温相が続くことになります。

つまり、妊娠が成立すると基礎体温はしばらく高いまま続くということです。実際に、妊娠した時にその徴候として、「熱っぽい」と感じる人もいます 。高温相が17日以上続いたら妊娠した可能性があります[*2]。

妊娠後の高温相はいつまで続くの?

妊娠初期にわずかに上昇した基礎体温は、妊娠4~5ヶ月から下降し始めます。そして妊娠6~7ヶ月以降には低温相になります。

頭痛、悪寒、気持ちの悪さ、だるさ…これって風邪?

妊娠が成立してしばらくすると、多くの人がつわりを経験します。

つわりの症状として、消化器系の症状である悪心、嘔吐、唾液の増加、食欲不振、食べ物・飲み物の好みの変化などが起こります。また、その時期に頭痛や倦怠感(けんたいかん)が現れることもあります。ただ、つわりの症状は個人差が大きく、とてもつらいと思う人もいれば、反対にそれほどつらさを感じない人もいます。

なお、つわりは妊娠6週ごろから始まり、その頃はまだ基礎体温が高い状態が続いています。また、つわりの症状として、もしくは妊娠中の妊婦さんに生じがちな症状として、気温の変化に敏感になることがあります。

つわりは、多くの場合12~16週には自然におさまってきます。

妊娠中の生理的でない熱には要注意

妊娠初期の微熱はホルモンバランスの変化によるものが多く、それは生理的なもので心配ありません。しかしそれとは別に、何かの病気の症状として発熱する場合もあり得ます。風邪などの感染症のほか、早急な治療が必要なつわりの重症型である「妊娠悪阻」でも発熱が見られることがあります。
ここで、生理的ではない熱、つまり何かの病気による発熱についても触れておきます。

妊娠中は感染症にかかりやすい

妊娠中はさまざまな感染症にかかりやすいことが知られています。その理由は、妊娠中に免疫力が低下するためです。

なぜ妊娠中に免疫力が低下するのかというと、母親とは別の生命である赤ちゃんを異物と認識して排除しないようにするためです。その結果、妊娠中は感染症にかかりやすく、また重症化しやすいのです。

病的な原因での発熱では、赤ちゃんへの影響も心配に

妊娠に伴う生理的な発熱ではなく、感染症などの病気による発熱の場合、お腹の赤ちゃんに影響が現れることもあります。例えば、妊娠初期の39.5度以上の高熱が流産などのリスクとなるという指摘もあります[*3]。

いずれにしても、体の異常を感じたら早めに医師の診察を受けて治療することが、安心・安全につながります。

つわりの重症型で発熱も

「妊娠悪阻」は激しい吐き気や急激な体重減少などの重い症状が現れますが、その症状のひとつとして体温が上昇することもあります。妊娠悪阻の頻度は全妊婦の0.5~2.0パーセントで、初産婦に多いとされていますが、より重症化するのは経産婦(出産経験のある妊婦)です[*4]。

熱が生理的なものなのか病気によるものなのかは、自分では判断が難しいかもしれません。いつもと違うような発熱がある場合は、早めに医師に相談しましょう。

まとめ

妊娠すると、初期からさまざまな変化が心身に現れます。微熱も妊娠初期に起こる症状のひとつで、ほとんどは生理的なものです。ただし、中には診断・治療が必要な発熱もあります。高熱が出たり、他にも気になる症状がある場合は、速やかに受診しましょう。

(文:久保秀実/監修:窪麻由美先生)

※画像はイメージです