台風で火災保険が利用できる被害は?保険金の受け方と公的な補償の確認を

台風15号では、千葉県などが停電による影響で大きな被害を受けました。そして、10月12日の台風19号では関東・東北の広範囲に、想像以上の大きな被害をもたらしました。被害にあわれた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

生活の再建には時間もかかり大変なことと思いますが、被害にあわれた方には火災保険の保険金を受け取ることができます。その場合、保険を受け取れるかどうかは、火災保険の契約内容を確認する必要があります。今回は、どのような場合補償されるのか、受け取るために必要なことを確認しましょう。


まずは契約内容の確認から始める

火災保険というのは、火事になったときだけに補償があるものではありません。保険金を支払った事故というのは、水災・風災・雪災によるものがもっとも多いのです。

損保ジャパン日本興亜のデータ(2016年度)によると、2位が不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)、3位が漏水などによる水濡れです。火災は7位です。1位の「水災・風災・雪災など」の事故件数は、火災による事故件数を比べてみるとなんと20倍以上なのです。

火災保険には、大きく分けて建物と家財があります。浸水のため、建物に被害が出た場合には、火災保険の建物が対応して、家電製品、家具や寝具の被害の場合は、火災保険の家財が対応しています。

ですので、建物の契約と家財の契約があるかを、まず確認してください。

次に契約内容の確認です。火災保険には、いくつかのプランが選べるようになっています。

火災保険の基本補償は、火事、落雷、破裂、爆発です。それにさまざまな補償をセットできるようになっています。その補償の内容は、風災、雹災、雪災、水災、盗難、破損、汚損などがあります。

フルセットで申し込むとこれらの補償が全部入っているはずです(各損害保険会社で異なりますが)。今回の台風19号は、風災、水災の被害が大きいものでした。水災の補償は付いていたかを確認しましょう。

火災保険の手続きは

まず、損保会社に連絡をとって、補償の手続きをしましょう。次に、実行して欲しいのは、被害の写真を撮ることです。

安全上、すぐに片づけが必要な場合もありますが、ご自分で片づけや修理をする前に、必ず写真を撮っておいてください。写真の撮り方は、被害の状況が確認できるような写真です。被害を受けた建物・家財の全体の写真(建物の場合は、建物全景の写真)。破損箇所がわかる写真です。

損保会社に連絡をすると、保険金請求の手続き方法についての案内や、保険金の請求書の書類などを郵送してくれます。

被害はあったけれど、大きな被害ではない場合

しかし、ちょっとした被害の場合はどうされていますか?「窓ガラスが割れた」「軒先が壊れた」などの場合には、どうすればいいのか?

こんな被害は、かなり多いのではありませんか。知り合いに、「車庫の屋根の一部が壊れたが、どうしたらいいの?」という問い合わせがありました。

このような場合でも、火災保険は適用になりますが、状況によって異なりますので、損保会社に確認を取ってください。同じように被害箇所の写真を撮り、損保会社に連絡をとってみましょう。受け取れる保険金というのは、「修理費用−免責金額」になります(免責金額は、契約によって違います)。

停電で冷蔵庫の食材がダメになった!

また、こんな質問がありました。

「台風よる家などの被害はなかったのですが、停電でさまざまな問題が起こりました。たとえば冷蔵庫の物がすべてダメになってしまったのですが、これは、家財保険が使えるのでしょうか?」と言うことなのです。

残念ながら、この場合は、火災保険の家財は使えません。冷蔵庫の中のものは、家財ではありません。

家財とは、家具、電化製品、書籍、身の回り品の動産(不動産以外の物、ないし財産)です。ただし、通貨や有価証券は含まれません。また自動車も含まれません。自動車の被害は自動車保険での対応になります。

公的な補償にはどんなものがあるのか?

自然災害で大きな被害にあったときの公的な補償には、「被災者生活再建支援制度」や「災害援護支援金」などがあります。「被災者生活再建支援制度」は、都道府県から相互扶助の目的のために支給されます。

「災害援護支援金」は、生活を立て直すための資金として借りることができます。その他、「災害慶弔金」「災害障害見舞金」などがあります。さらに「雑損控除」「災害免除法」は、所得税の全部または一部を軽減することができます。

基本の備えは、火災保険を使う

公的な補償はありますが、それが出るのかどうかは、被害の大きさや地域によっても変わってきます。ですから基本は個々に火災保険で備えておくのが重要です。

生命保険の入り方は、遺族年金や高額療養費などの社会保障があり、その不足分を死亡保障や医療保険で補うというのが、正しい考え方です。

しかし、火災保険の場合は、被害額が大きくなる可能性があります。それが全額自己負担ということもあります。損害保険の場合には、まず個人個人で火災保険を利用して、備えをしっかりしておく必要があります。その上で公的な補償を利用するというのがいいでしょう。

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