人生100年時代 何歳まで働く?

北海道のシニア雇用

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今週のけいナビでは、人生100年と言われる今、「何歳まで、どう働くか」を考える。

まず取材したのは、60代からの仕事説明会。
高齢化率が全国平均を上回る北海道では、このように、高齢で働きたい人をターゲットにしたイベントの数が、特にここ数年で増えている。
説明会の参加者に、働きたい理由を聞いた。

理由のトップは「自分のため」。ほぼ同じ割合で「お金のため」、3位は健康と続く。違いはあるものの、「自己実現のため」が大部分のようだ。
高齢者と企業の関係も社会と共に変化している。高齢者の豊富な経験や技術を生かす企業を取材した。

馬具の鞍のフォルムを再現した革のかばん「鞍シリーズ」で知られる「かばんのいたがき」。創業地、空知の赤平町を拠点に、1つ1つのかばんを老若男女の職人たちが丁寧に手作業で作り上げていく。
西崎茂さん65歳。鞍シリーズのかばんの鞍の部分、タンニンなめしと呼ばれる厚みのある皮を数枚重ねた曲線部をミシンで編み込む。編む場所の目印もなく、感覚だけの作業。

西崎さんは、片足が義足という障害がある。しかし、定年が原則60歳という環境で、高度なミシン技術を売りに、毎年正社員での雇用延長を実現している。若手の職人は、「頑固そうに見えるが、やさしい」「技術を見て盗んでいる」と話す。西崎さんは2年前、会社に「70歳まで働きたい」と希望を伝えた。「いたがき」の板垣江美社長は、「健康状態もある程度会社で把握しているので、本人の希望を実現したい」と話す。西崎さんは「会社に感謝している。自分の技術を若い人に伝えたい」と語った。

道東・釧路町の残間金属工業。
3つの大きな建物で、ビルや体育館の鉄骨など様々な金属加工製品を手掛ける。
釧路エリアの金属加工業の中核だ。

従業員は50人ほど。鉄骨部門を担当する社員は、すべて溶接技術の資格を持つスペシャリスト。60歳以上の社員は4人。定年は原則62歳だが、延長するケースも多い。残間巌社長は、「若い人が増えて平均年齢は下がっている。ベテラン社員は自分の経験を伝えてほしい」と話す。
元工場長、65歳の辻俊明さん。会社の定める定年は過ぎているが、今も正社員。
給与は工場長の手当がなくなったものの、基本給は変わらず28万円。賞与もある。

右が辻さん。若手に交じり、現場で働く

会社は10年ほど前から機械化を進め、誰でもデータを入力するだけで金属加工が可能に。高齢社員の体力的な負担が減り、辻さんのように高い技術をもった社員が、機械では表現できない細かな溶接に集中できるようになった。

長年続けている、鉄骨の仕事が好きだと語る辻さん。

機械化で人員を減らす必要はなく、より質の高い製品作りに職人技が必要となった。結果、正社員のまま雇用が続いている。残間社長は、「本人が働く意欲があるうちは、いつまでも働いてほしい」と話す。

福島民江さん、82歳。16年前からビルの共用部分の清掃を担当している。週6日間、朝の2時間、この清掃を続けている。82歳とは思えない速さ。福島さんは札幌の人材サービス業キャリアフィットの契約社員だ。

ことし、会社から傘寿=80歳を超えても元気に働く人に贈られる金傘賞(きんさんしょう)が贈られた。福島さんの所属する札幌のキャリアフィット。東京や九州まで全国10カ所に拠点を構える。この会社の特徴は高齢社員の多さにある。キャリアフィットの田代瑞恵さんは「高齢社員は、働くということに対しての意識がすごく高い」と話す。約800人いる社員(契約含む)のうち、4人に1人が60代。70歳以上も80人在籍する。今月、高齢者の積極的な雇用を高く評価され、 国から表彰を受けた。

会社は個人的な事情まで把握しているため、シフトが組みやすい。さらにビル管理、警備、給食など6つに分かれる職場に高齢者を分散させているため、突然の欠勤もカバーできる。「休み」や「勤務時間」も本人の希望が最優先だ。こうした社員ファーストの働きやすさから、長く在籍する社員が増え、全体に占める高齢者の割合も自然と高くなる。福島さんは「家でじっとしているのが嫌。仕事しているのが一番向いている」と話す。

一方、伊達市の伊達シルバー人材センター。ピーク時400人以上いた登録者の数は、現在300人ほどに、大幅に減少している。
2年半前にシルバー人材センターに登録し、高齢者の家の家事支援の仕事をしている青野洋子さん、75歳。この日は市内の自宅の清掃。依頼費用は月に千円ほどと低価格だ。

伊達市で働く、青野洋子さん75歳。

10年以上民間で介護職についた経験を生かせる職場は、青野さんにとっては貴重だという。伊達シルバー人材センターの羽根秀樹理事長は「民間企業の再雇用、あるいは定年制の延長といったような足かせがある。伊達だけじゃなく、全国的にもシルバーセンター登録者は減少傾向にある」と話す。

健康寿命が長くなり、社会構造も変化している。これからの時代、企業も個人も、工夫が必要なのかもしれない。
番組の最後は鈴木ちなみさんの一言。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。
(2019年10月19日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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