508シリーズのベストバイはSWだった!|プジョー 508SW試乗

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プジョー 508SW

508SWはセダンの弱点を克服した?

以前プジョー508GTのセダンを長距離テストして以来、ステーションワゴンのSWが気になって仕方がなかった。そのレポートにも書いたが、GTの場合235/45ZR18サイズのタイヤを履いており、スポーティさはあるものの、若干ばね下の重さからくるバタつき感があったのだ。

またディーゼルということもあり、フロントの重さもぬぐえなかった。一方の508SWはリヤ側にも重量が増え、バランスが取れるのではないか。加えてグレードがアリュールのため215/55R17とサイズダウンし、よりしなやかな乗り心地を得られるのではないかという期待があったのだ。

ワゴンでもしっかり剛性確保! 乗り心地もしなやか

プジョー 508セダン

プジョー 508はセダンであってもリヤにハッチゲートを備え大開口部をもっている。にもかかわらず十分なボディ剛性を備えており、それはまるでSWをベースに設計されたかのような印象を与えていた。今回508SWに乗ってみて、その印象に間違いはなく、全くといっていいほどボディ剛性が落ちていないのだ。剛性が落ちていると段差を超える際に、フロアまわりやステアリングポストが”ぶるぶると震える”ことがあるのだが、508SWはそういったことは一切なかった。

シャーシとサスセッティングは評価ポイント

プジョー 508SW

ゆっくりと混んだ街中を走らせていると、明らかに乗り心地がしなやかになったことが感じられた。荒れた路面は当然のこと、大きなうねりのある路面を超えた時などに、サスペンションがきれいにショックを吸収してくれる。加えてバネ下が軽いので、どたばたとタイヤが暴れず、見事に上質な乗り心地を醸し出していた。これはボディ剛性が高く、かつサイズダウンしたタイヤが大きく影響している。ボディ剛性が緩いと足まわりをしなやかに動かすことができなくなるのだ。

そういう意味でも、ボディとサスペンションセッティングは評価に値する。少し速いペースに身を任せてもこの印象は変わらない。タイヤが小径な分、乗り心地のしっとりとしたクルマに仕上がっている印象であった。

セダンと比較をして全長で40mm長くなった(全てリヤオーバーハングに充てられた)こと以外、サイズに変更はない。しかしアリュールの場合サンルーフがつかないので頭上高がある程度確保され、後席の居住性も向上するというメリットが生まれる。特にSWの場合リヤウインドウが頭上近くにないため、さらに快適に過ごすことが可能だ。

高速域が508SWの真骨頂!

プジョー 508SW

高速に乗り入れると乗り心地の印象はさらに高まる。特に60km/h以上になると、しなやかさとともにフラット感も一気に高まってくる。さらにコーナー途中に段差があったとしても、タイヤがしっかりと路面を捉え、飛び跳ねることがないので安心して走行することができた。

直進安定性は文句なしなうえ、セダンの弱点も克服

高速走行で最も驚いたのはスタビリティ、直進安定性だ。セダンも同様に直進安定性は抜群だったのが、一つだけ気になることがあった。それは、ステアリングがシャープすぎるなことだ。

プジョー 508SW

プジョーの場合i-Cockpitを採用しており、小径ステアリングとその上から見下ろすようにメーターをレイアウトしている。多少慣れは必要だが、街中で使う分にはほとんどの交差点でステアリングを持ち替えることなく、スムース&きびきびと走ることが可能だ。

一方ボディが大きく、ステアリングが過敏であると、わずかにステアリングを切っただけで予想以上に反応することがある。これはプジョー 5008などが顕著だったが、その傾向がこの508でも感じられていた。

プジョー 508SW

しかし508SWアリュールの場合、その過敏さが影を潜めていた。これはタイヤが小径になったことなどから、わずかに高速での切り初めに緩さが生じたのだ。そのうえステアリングの過敏さが消え、小径ステアリングにもかかわらずドライバーの意思に反する動きが無くなったからだ。従ってセダン以上に肩の力を抜いて、淡々と長距離をこなすことが容易に可能になった。

長距離移動でも疲れ知らずの一台

プジョー 508SW

長距離移動において、直進安定性とともにシートの"デキ"は乗員の疲労度を大きく左右する。その点508SWアリュールのファブリック/テップレザーシートは快適で、路面からのショックをこのシートでも吸収してくれる。そのうえ適度なホールド性も持ち合わせているので、一気に高速を500kmほど走っても疲労は感じなかった。

ACCは便利ではあるものの改善は必須

プジョー 508SW

ここで安全運転支援システムについて触れておきたい。高速での移動時はほぼ全域においてアダプティブクルーズコントロールを使用した。その理由はアクセルペダルの角度が今ひとつで、足首が疲れてしまうからだ。そこで単眼カメラではあるものの、比較的出来の良いこのシステムを使った次第だ。

エンジンブレーキをうまく使って速度調整をしてほしい

他のPSA各モデルと比較すると7・8速を頻繁に行き来させ、エンジンブレーキを使いながら速度調整をしている印象が強かった。以前よりブレーキランプを点灯しての速度調整は減ったようである。

それでも他社と比較するとその頻度は多め。最も気になったのは速度を80km/hにセットした後、100km/hまで加速。その後アクセルを戻して80km/hに戻るのを待つといったシチュエーションがあるとする。多くのクルマはエンジンブレーキを使い、自然にその速度まで落ちるのを待つが、508SWの場合はブレーキングして一気に速度を落とすことがあるのだ。これは気持ちの良いものではないうえ、後続車がいた場合には危険を伴うこともあるので、ぜひ改善してもらいたい。

レーンキープ機能はアリュールと抜群の相性

直進安定性とアダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストとの関連では、GTなどの235/45ZR18よりも、今回の215/55R17のほうが修正舵はほとんど入らず、非常にスムースに走る印象であった。

また、レーンキープアシストは、極稀に違う白線を読むことや、トンネルの出口などで左側の白線が一気に広がった時に、それを読んで左にハンドルがとられることがあったので注意が必要だ。

文句なしの燃費!

プジョー 508SW

ボディ重量1,540kgと比較的軽めであり、1.6L直列4気筒ターボ133kW/5,500rpm(180ps)、250Nm/1,650rpmを発揮するエンジンは必要にして十分。決して自己主張するものではなく、裏方のようなエンジンではあるが、その実力は燃費にも表れており、今回の結果は以下の通り。

MAZDA6 2.5リッターガソリンターボの実燃費は11.6km/L

朝夕の渋滞では8km/L台まで落ち込むこともあるが、少しでも流れ始めれば、一気に回復するので効率の良さが伺えた。いずれにせよ、1.6Lターボのガソリンエンジンとしては優秀な数値といえよう。

508SWアリュールはベストバイ

プジョー 508SW
プジョー 508セダン

実はこの508SWアリュール以前に、508セダンのガソリンモデル、508GT Lineにも試乗していた。そういった各バリエーションを合わせて、508のベストバイを考えると、今回借り出した508SWアリュールと結論を出したい。

その理由は十分な足の長さを持ちつつ、上級グレードにあった足のバタつきなどもクリア。さらに直進安定性も向上するなど、魅力がより一層向上しているからだ。まだ乗っていないがセダンのアリュールも候補になるが、308のハッチバックとSWとの印象の違いを踏まえると、よりリアの落ち着きが増すSWの方が、ワインディングも含めて落ち着いた挙動を示すと考えたからだ。

いずれにせよ、プジョー508が属するセグメントには多数の競合車がひしめき合う。その多くが走りなどのドライビングプレジャーを標榜する中で、この508はクルマ自体が大きく主張することなく(とはいってもi-Cockpitは特徴的だが)、淡々と快適に、なるべく速く移動する高い実用性を備えた稀有なクルマといえるだろう。

そのうえで、この508SWのリヤクオーターから見たデザインはとてもバランスがとれており、思わず振り返ってみたくなるほどであることも付け加えておく。

【筆者&撮影:内田 俊一】