【台風19号】山北の給水車問題 黒岩知事が陳謝

山北町の給水車問題で陳謝する黒岩祐治知事=16日午後、県庁

 台風19号の影響で断水被害があった神奈川県山北町で、陸上自衛隊の給水車が活動せずに引き返し、県の給水車到着まで数時間を要した問題で、黒岩祐治知事は16日、「町民の皆さんのお怒りは至極当然。心からおわび申し上げたい」と陳謝した。

 県庁で記者団の取材に応じた知事は「後から考えると、ルールに基づいてなかったとしても、融通を利かせて(自衛隊の給水車で)給水するという柔軟な対応もできた。判断を下す余裕がなかった」と述べた。

 県などによると、大規模断水の可能性が高まった13日未明、町は陸自駒門駐屯地(静岡県御殿場市)に「給水車の支援をお願いするかもしれない」と連絡。その後、町から陸自への派遣要請を受けた県は「まだ早い。県の給水車が向かう」などと回答した。陸自の給水車は午前7時ごろ着いたが、給水せずに撤収した。

 県の給水車は渋滞で遅れ、午後0時45分ごろに到着した。県には陸自の給水車が町に入ったとの情報が届いていたが、十分な確認をしなかったという。

 自衛隊派遣は都道府県知事が要請する仕組みで、知事は「部隊が上からの指令ではない形で動いたということ。ただ、善意で対応されたことで(陸自を)責めるつもりはない」と語った。

 一方、山北町の湯川裕司町長は神奈川新聞社の取材に、「県には今後、県西部に柔軟な対応をしてもらいたい」と苦言を呈した。断水の可能性については陸自と県に同時に連絡したとし、「ルールは分かるが、待っているよりも、救いたい人に一歩でも近づきたいという判断は当然」と陸自の姿勢に理解を示した。

 河野太郎防衛相(衆院神奈川15区)は16日夜のBSフジ番組で、山北町に給水車が到着した時点で「神奈川県が要請してくれればよかった」と指摘、県の対応に疑問を呈した。

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