表現の自由盛り込む『あいち宣言』検討 愛知県

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は15日の参院予算委員会で国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への国からの交付金「不交付決定」に再検討を求めるとともに、今回の不交付決定により「政府の方針に少しでも反するような表現はあらかじめ自己検閲する力が働く。また不透明な決定は表現の自由に大きな萎縮効果を生む。事実上の検閲として働く」と懸念を示した。

 福山幹事長は「テロ行為をすると脅しをかけただけで、自分の気に食わない表現を制限することができしてしまった」と問題の深刻さを示し「政府はそれに対して補助金を不交付にした。こういった前例は絶対に日本の文化行政として不適切だ」と問題提起した。

 しかし、安倍晋三総理は補助金の扱いについて文化庁の判断を支持した。文化庁は「補助金の申請者である愛知県が会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにも関わらず文化庁に申告しなかったことによる」ことを理由に補助金交付が決まっていたにも関わらず、これを「不交付とする」と決定した。決定過程では補助金交付採択時と違い、外部審査員を蚊帳の外に置くなど不透明な手続きで決められていた。

 あいちトリエンナーレ2019では企画展「表現の不自由展、その後」に慰安婦を象徴する少女像が展示されるなどしたことから脅迫行為があるなどし、企画展が長期に閉鎖され、政府が補助金不交付にするなどした。

 こうした背景を踏まえ、作家らは表現の自由や鑑賞者の権利などを盛り込んだ『あいち宣言』草案を主催者の愛知県・大村秀章知事に提出。愛知県では今後、検討会で検討し、県として採択を目指す方針だ。(編集担当:森高龍二)

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