生命保険料控除でいくら戻ってくる?損をしない保険額の決め方とは

年末調整の時期です。書類をしっかり用意をして提出をしないと税金の控除を受けることができなくなり、とっても損です。年末調整で忘れてはいけないのが、生命保険料控除です。生命保険会社から、送られてくる控除証明書を必ず提出してください。

1つの保険で最大4万円の控除があります。たとえば2種類の保険に入っていたとしたら最大8万円が控除できます。所得税10%、住民税10%だとすると、1万3,600円の税金が還付されるのです。もし忘れてしまえば、損をするだけです。

そろそろ生命保険会社から控除証明書が届いている時期です。ゴミ箱に捨ててはいけません。会社に年末調整の書類と一緒に提出してください。今回は、生命保険料控除について説明をしましょう。


生命保険料控除には旧制度と新制度がある

生命保険料控除とは、所得税・住民税の負担が軽くなる控除です。2012年に制度が改定されました。ちょっとややこしいのですが、2012年1月1日に契約をした保険は、新制度が適用されて、2011年12月31日以前に契約した保険は、旧制度が適用されます。

ということは、2011年の保険と2012年の保険に契約している人は、それぞれ違う制度が適用されることになります。ということで、新制度の表と旧制度の表の両方を掲載します。

旧制度と新制度の両方を合わせて、全体の適用限度額は、所得税12万円、住民税7万円です。それ以上は控除されません。以下は新制度を適用して説明します。

具体的にどのくらい税金が戻ってくるのか?

では、具体的にどのくらい控除されるのかAさんの保険の例でみてみましょう。

Aさんは、医療保険と個人年金保険の2つの保険に入っていました。医療保険は、年間8万4,000円、個人年金保険は年間12万円の保険料を支払っていました。

それぞれ適用限度額を超えているので、控除額は4万円ずつで、合計8万円が所得税から控除されます。住民税の控除額も2万8,000円ずつで、合計5万6,000円が住民税から控除されます。

課税所得が195万円〜330万円の人は所得税が10%なので、控除額は、次のようになります。

所得税控除額8万円×10%=8,000円
住民税控除額5万6,000円×10%=5,600円
8,000円+5,600円=合計1万3,600円の税金が戻ってきます。

税金が戻ってきたときに、この還付分が、これという風にわからないので、実感しにくいのですが、損をしないように、生命保険料控除は必ず提出するようにしましょう。

次は控除が受けられる上限額から損をしない保険の額を紹介します。

個人年金保険がもっとも「得」になるには?

個人年金保険に入っている人は、生命保険料控除があるのでお得ですよ。と勧められたことはありませんか? しかし、いま発売されている個人年金保険は、ハッキリ言って「お得」ではありません。なぜなら低金利時代ですので、利率が悪く、ほとんどお金は増えません。唯一有利なのは、この生命保険料控除が使えることだけです。それでは、どのくらい有利なのか考えてみましょう。

月額保険料が1万円の個人年金保険に加入すると年間保険料は12万円になり、所得税4万円、住民税2万8,000円の控除額になります。
所得税が10%ならば、

所得税4万円×10%=4,000円、住民税2万8,000円×10%=2,800円。
所得税4,000円+住民税2,800円=合計6,800円の税金が戻ってきます。

年間12万円で、6,800円の控除となり、年約5.67%の利回りがあるということです。銀行の定期預金が0.01%を考えると、とてもいいですね。

では、金額を多くすればさらにお得かな?と思うかもしれませんが、それは間違いです。年間の払込保険料8万円以上は一律4万円の控除額ですから、金額が多いとむしろ損になります。

たとえば、月額2万円で年間24万円の保険料を支払っても所得税・住民税の控除額は変わりません。年24万円で、6,800円の控除ですから、利回りは半分の年約2.83%になります。

個人年金保険よりもっと「お得な商品」がある

ということは、「個人年金保険に月額1万円で契約するのが正解だな!」と思うと、それも違います。じつは、もっと利回りのよい商品があるのです。

それは、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。保険商品ではありませんが、iDeCoの税金の優遇がはるかにいいのです。iDeCoは、掛金控除なので払い込んだお金が全額控除になります。

月額1万円で年間12万円ならば、12万円が控除になります。所得税10%ならば、1万2,000円の税金が戻ってきます。住民税も10%なので1万2,000円、合計2万4,000円の税金が戻ります。利回りでいうと20%です。こんなに税金が優遇されているものはありません。掛金の上限はありますが、掛金が大きいほど控除額も大きくなります。

次に検討するのは「つみたてNISA」です。iDeCoは60歳までは、お金を下ろすことはできません。個人年金保険は、途中解約をすると元本割れしてしまいます。その点、NISAは途中で引き出すことができるので、急にお金が必要になった時もは使い勝手がいいと言えます。

NISAは所得税の控除はありませんが、譲渡益や配当益が非課税になります。とくに「つみたてNISA」は、信託報酬などの手数料が安い商品が揃っているので、安心できます。

こう考えると、有利に貯めることができるのは、最初の選択肢は「iDeCo」で、次に「つみたてNISA」、三番手に「個人年金保険」がきます。

もし、予定利率の良かった20年以上前に入っていた個人年金保険ならば、お宝保険ですが、今の時代はそうではありません。「保険ならば安心」という考えは間違いです。保険以外の選択肢も持つようにしましょう。

<2021年更新済み>

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