「キリシタン遺産 誇りに」 登録1周年で専門家講演

長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の世界遺産登録1周年を記念した講演会=長崎歴史文化博物館

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録1周年を記念した講演会が14日、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館であり、専門家2人が遺産の価値や「天草の崎津集落」を巡る取り組みを紹介した。
 文化庁の鈴木地平(ちへい)文化財調査官(39)は、登録までの経緯を解説した。推薦書を見直し、教会建築から禁教の歴史的文脈に焦点を当てたことについて「構成資産が集落や島全体になったことで関係者が莫大(ばくだい)に増えた」と指摘。「まちづくりの観点から大事な作業だった」と振り返った。
 鈴木氏は、保全の取り組みが地域への誇りや愛着につながるとして「世界遺産をきっかけに住みやすくなったと思えるように遺産を活用してほしい」と呼び掛けた。
 熊本県天草市文化課世界遺産・文化財係の中山圭主任(42)は崎津集落を訪れる観光客が2倍になったと報告した。地域の歴史を学ぶ場所となり、地元中学生が自発的なガイド活動に取り組んでいることなどを紹介。ただ、人口約500人で高齢化率は49%。空き家の解体申請件数が増えているなどとして「構成要素を保存しつつ、街並みや暮らしをどう維持できるかが課題」と語った。
 講演は県と同館が主催し、2回目。市民ら約130人が聴講した。次回は最終回で12月7日に同館で開く。

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