イギリスとEU、新しいブレグジット案に合意と 各国議会の承認必要

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イギリス政府と欧州連合(EU)は17日午前、ブレグジット(イギリスのEU離脱)条件を定めた新しい離脱協定案に合意したと明らかにした。新協定の施行にはEU加盟各国のほか、英議会の承認が必要となるが、イギリスでは複数の政党が反対を表明している。英下院は19日の緊急審議で、新協定案を採決する予定になった。

は、「決定権を取り戻す素晴らしい新協定をまとめた」とツイートした。

しかし、焦点となる北アイルランドの扱いをめぐり、北アイルランドの民主統一党(DUP)は「現状」では支持できないと表明している。ジョンソン首相率いる与党・保守党は下院で単独過半数を得ていないため、2017年以来、保守党に閣外協力しているDUP(10議席)の支持がなければ、政府の協定案が下院を通過するのかは不透明だ。

一方で、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は、「公平でバランスの取れた合意内容」だと評価した。

協定合意を欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)に伝える書簡で、ユンケル委員長は「いい加減に離脱手続きを完成させ、欧州連合とイギリスの将来の協力関係について交渉を可及的速やかに開始する方向に移るべきだ」と書いている。

新しい協定案の大半はテリーザ・メイ前首相がまとめたものと同じ内容だが、北アイルランドの位置づけや北アイルランド議会の「同意権」などが新しくなっている。

英首相官邸筋によると、ジョンソン氏はこの後、10月31日の離脱期限延長の要請を拒否するよう、EU加盟各国の政府に呼びかける方針という。

最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、新協定案はテリーザ・メイ前首相がまとめたものより「さらにひどい」ようだと批判し、下院は「これを拒絶すべきだ」と呼びかけた。

BBCのノーマン・スミス政治副編集長によると、労働党はこの新協定案について、国民投票にかけるのでなければ賛成しない方向で固まりつつある。しかし、ジョンソン首相は国民投票で確実に勝てる見通しがなければ、それに応じないつもりだという。

バックストップは削除

ジョンソン首相が新離脱協定をまとめられるかは、英・北アイルランドとアイルランドの国境の扱いをめぐるいわゆる「バックストップ」条項を廃止できるかどうかにかかっていた。

バックストップとは、イギリスとEUとの間で通商協定がまとまらない場合に、北アイルランドとアイルランドの国境に厳格な検問所等を設置しないための措置。バックストップでは、北アイルランドはブレグジット後もEU単一市場のルールに従うことになり、イギリスがこの取り決めから離脱するにはEUの同意を必要とした。そのためジョンソン氏を含む反対派は、EU離脱後もイギリスがなおEU法に縛られることになると、強く反発していた。

それだけに、このバックストップ条項を削除することで、ジョンソン氏は保守党内の離脱派やDUPの支持をとりつけようとしていた。

協定合意を明らかにしたジョンソン氏はツイッターで、「非民主的なバックストップは廃止した。北アイルランドの人たちは自分たちの暮らしのよりどころとなる法律を自分たちで決めるし、バックストップと異なり、北アイルランドの人たちは自分たちがそう望むなら、特別な取り決めを終わらせることができる。 #ブレグジットを実現しよう #決定権を取り戻そう」と書いた。


新協定の要点は

EUのミシェル・バルニエ首席交渉官はブリュッセルで記者会見に臨み協定合意を発表し、新協定の4つの要点を説明した。

1. 北アイルランドは今後も、物品に関するものを中心に、一部のEU規則の対象となる
2. 北アイルランドはイギリスの関税地域に留まるが、EU単一市場への「入り口であり続ける」
3. 単一市場の一体性を維持しつつ、付加価値税(VAT)に関するイギリスの正当な要望に応える
4. 北アイルランドの代表は4年ごとに、EU規則を北アイルランドに適用し続けるかどうかを決定できる

(4)については、親英派とアイルランド派の双方の過半数ではなく、北アイルランド議会の単純過半数で決定する。

バルニエ氏は記者会見で、北アイルランド議会に決定権を与えることが「新しい合意の土台」になったと話した。さらに、新協定は「まず誰よりも市民に対して」、ブレグジットのあらゆる側面について「法的確実性」をもたらすはずだと説明した。

一方で、バックストップは削除されたものの、北アイルランドがイギリスの他地域と別の扱いを受けることには変わらないと、DUPなどから懸念の声が出ている。

支持と反発

ブレグジット強硬派の中心的存在で下院院内総務のジェイコブ・リース=モグ氏は、「今日は英政治にとって本当にワクワクする日」だと述べ、「非民主的なバックストップを削除し、この国がひとつの関税地域であり続けることを保証する」「この素晴らしい協定をこぞって支持するよう」下院議員に呼びかけた。

リース=モグ氏はさらにジョンソン首相について、「3年かけてできなかったこと、85日で達成した」とたたえた。

一方で、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首は、下院はこの新協定案を否決すべきだと述べた。

ファラージ氏はBBCに対して、「ともかくこれはブレグジットじゃない。もしこれに合意してしまうと、そのあとまたさらに何年もEUと交渉し続けることになる(中略)イギリスは今後も自分たちの法律を自分たちで決められなくなる」などと不満をあらわにした。

EU残留を支持する野党・自由民主党のジョー・スウィンソン党首は、協定案は「この国の経済にとって良くない、この国の公共サービスにとって良くない、私たちの環境にとって良くない」と反発し、「ブレグジット阻止の戦いはまだまだ終わっていない」と強調した。

「これから数日の間に、この国の今後数十年にわたる方向性が決まる。私は今まで以上に、ブレグジットを阻止すると断固たる思いだ」と、スウィンソン氏は述べた。


(英語記事 New Brexit deal agreed, says Boris Johnson