社説(10/18):ラグビーW杯8強/多様性と結束が生んだ快挙

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 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で、日本は悲願だった初の8強入りを果たし、新たな歴史を刻んだ。1次リーグで強豪との激闘を制して4連勝を飾り、決勝トーナメントに進出した。「桜の戦士」たちのプレーや戦いぶりに胸を熱くした人も多いだろう。

 20日の準々決勝の相手は、過去2度の優勝を誇る南アフリカだ。2015年の前回大会では劇的勝利を収め、「スポーツ史上最大の番狂わせ」と世界を驚かせた。因縁の対決を勝ち抜き、さらなる高みを目指してほしい。

 世界のラグビー界では「ティア(階層)」と呼ばれる格付けがある。伝統と実力から強豪とされるニュージーランドや英国など10カ国・地域は「ティア1」と位置付けられる。日本などの中堅クラスは「ティア2」と呼ばれる。

 日本は今大会で、ティア1に属するアイルランド、スコットランドを連破。ティア2に属するチームが全勝で1次リーグを突破したのは、史上初めてという。

 強豪国からは「日本は間違いなくティア1の一つ」との評価が聞かれる。日本の快進撃は、まぐれでもなければ奇跡でもない。実力でつかんだ8強と言っていい。

 日本はかつて体力的に劣っていた。厳しい練習を積み重ねて体力アップを図り、世界と互角に渡り合うようになった。新たな技術も磨いた。タックルを受けて体勢を崩しながらも味方にボールをつなぐ「オフロードパス」に積極的に取り組み、武器の一つとなっている。

 攻撃では選手が一体となり早いテンポでパスをつなぐ。防御では2人がかりのタックルなど早い出足で相手にプレッシャーをかける。チームの合言葉「ワンチーム」を体現しているように見える。

 日本代表31人のうち、海外出身の選手は15人を数える。選手たちが多様性を生かし、互いの弱点と長所を補完し合う。チームのため、勝利のため結束する。それが日本代表の強みだろう。

 1次リーグの終盤、日本列島を襲った台風19号により、東北をはじめ多くの地域が水害などに見舞われた。

 釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでの試合が中止となったのは残念だったが、海外の選手たちが被災地で泥かきをする活動には心が温まった。日本代表からは「われわれは喜んでいるが、多くの人は苦しみの中にいる」と被災者への思いが語られた。

 日本代表のリーチ・マイケル主将はスコットランド戦を前に言った。「つらいときにどれだけ体を張れるかだ」。苦しい状況に耐えて戦い抜く姿はきっと、困難に立ち向かう被災者や全国の人々の心に響いたに違いない。

 決勝トーナメントではさらにラグビーの魅力、スポーツの力を伝えるプレー、戦いに期待したい。