農林球児へエール 選抜出場に期待 中石直木さん 元八重農野球部長

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 選手12人で県秋季大会準優勝を果たし九州初出場を決めた八重山農林高校野球部。沖縄市のコザしんきんスタジアムで決勝が行われた5日、大舞台でプレーする選手の姿にひときわ胸を熱くする男性がいた。同球場を管理するタピックの顧問で、教員時代は20年近く農業高校で勤めた中石直木さん(65)=中城村=だ。新米教師だった30年以上前には八重山農林で野球を指導した。センバツ出場を願い「全国の農高生に活気を与えてほしい」と期待を募らせる。

 琉球大学大学院(農芸化学専攻)で修士課程を修了後、1980年に中部農林で教員人生を始めた。2年目に八重山農林へ赴任。琉大で準硬式野球をしていた経験を生かし、部長として生徒と一緒に汗を流した。

 部員数の少なさや、多額の遠征費を捻出する離島ならではの苦労は当時から変わらない。農業高では部活より動植物の管理を優先させないといけない日もあるという。それでも「選手たちは部員が少なくても工夫して練習し、みんな伸び伸びとプレーしている」と話す。

 宮古を除く全ての県内農業高校で勤め、最後は北部農林校長で定年を迎えた。多くの生徒と触れ合い「農高生ならではの粘り強さというのを感じる」と言う。

 秋季大会決勝では強豪・沖縄尚学を相手に、九回2死から5点差を追い付く驚異のしぶとさを発揮した八重農ナイン。「農業は台風で動植物が痛めつけられても、日々作業を積み重ねていかないといけない。そのめげない気持ちが、プレーに表れているのでは」と強さの秘訣(ひけつ)を分析する。

 八重山農林が甲子園の土を踏めば、春・夏を通して県内の農業高として初の快挙となる。昨年、夏の甲子園第100回記念大会で秋田県の金足農業が準優勝を果たし、全国を沸かせた快進撃は記憶に新しい。

 「農業高は地味なイメージを持たれがちだけど、スポーツでもできないことはない。農高生に活気を与えてほしい」と熱弁する中石さん。センバツ出場を懸け、19日開幕の九州大会に挑むナインに「硬くならず、日々の作業で培った粘り強さを発揮してほしい」と熱いエールを送った。(長嶺真輝)