成長過程で腸が伸びたり縮んだり イタセンパラの生態解明 ひみラボ水族館チーム

万尾川で産卵期を迎えたイタセンパラの雄(右)と雌(氷見市教委提供)

 氷見市の万尾川に生息する国天然記念物の淡水魚イタセンパラが、稚魚から産卵するまでの4カ月間に著しく腸の長さを変えていることが、同市に生息する淡水魚を飼育展示する「ひみラボ水族館」のチームの研究で分かった。稚魚から幼魚になる過程で腸は14倍に伸び、成魚はそこから半分以下に縮んでいた。今月上旬、淡水魚の分野で世界的に権威があるデンマークの国際誌電子版に発表した。

 チームは2014年6月から15年1月にかけて万尾川のイタセンパラを定期的に捕獲して腸の長さを調べた。稚魚(6月中旬)は平均5.6センチだったが、幼魚(8月中旬)は78.4センチ、成魚(10月中旬)は30.9センチだった。

 稚魚は田んぼから流れ込む水に含まれるミジンコを餌にして成長。幼魚になると川の中に生える藻類を食べ、消化吸収するため腸を伸ばすと分析した。成魚になると繁殖に備え精巣や卵巣を大きくする必要があり、体内のスペースを確保するため、腸を犠牲にすると推測した。

 万尾川は全国有数のイタセンパラの生息地。ミジンコや藻類の発生には川の水位を上げたり下げたりすることが欠かせない。稲作が健全に継続されることが、水位の適切な操作に大きな役割を果たしているという。

 イタセンパラは7月、国際自然保護連合(本部・スイス)によって従来の危急種から絶滅危惧種に指定された。チームの中心となった市教委主任学芸員、西尾正輝さん(39)は「流域の米作りがイタセンパラの保護につながっている」と指摘する。

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