内陸大地震の懸念、今も 「ひずみ」残る日奈久断層帯 「震度7クラス、確実」 九州大など活断層調査 

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産業技術総合研究所が八代市川田町で実施した日奈久断層帯日奈久区間の調査でみつかった活断層。黒っぽい地層などが上下方向に約1メートルずれている

 九州大を中心に熊本地震以降3年にわたり進めてきた活断層の調査結果がまとまった。熊本地震の震源域とされる布田川断層帯と日奈久断層帯の活動区間と活動周期を明らかにしたほか、大地震が起きた際に想定される各地域の震度についても推定した。研究代表者の清水洋・九州大教授の話を交え、調査結果を詳報する。

 文部科学省の委託で、清水教授がセンター長を務める九州大地震火山観測研究センター(島原市)を中心に、産業技術総合研究所、京都大防災研究所などが調査した。

 最も重要なのは、両断層帯では今後も内陸地震の懸念が続くことだ。2016年4月の熊本地震では、マグニチュード(M)6・5と7・3の地震が発生。布田川断層帯の布田川区間はひずみを完全に解消したが、日奈久断層帯で動いた高野-白旗区間は周期的な大地震に数えない断層崩壊にとどまり、「ひずみ」がたまった状態にあるという。

 清水教授は「布田川区間で予想される次の大地震は2千年ほど先だが、日奈久断層帯ではいつ起きてもおかしくない」と指摘する。

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 その根拠となるのが、日奈久断層帯に沿って実施されたトレンチ(溝)やボーリング調査だ。地層のずれから大地震の痕跡を探し出し、直近で起きた大地震の発生年代(最新活動時期)や平均活動間隔などを推定した。

 その結果、【高野-白旗区間(甲佐町白旗山出)】▽最新活動時期 約1100~1400年前▽平均活動間隔 約2400~2500年【日奈久区間(宇城市小川町南部田)】▽最新活動時期 約1100~1900年前▽平均活動間隔 約3千年【八代海区間(津奈木町沖)】▽最新活動時期 約1600年前▽平均活動間隔 約2100年-などを割り出した。

 布田川断層帯は、布田川区間の最新活動時期は16年の熊本地震で、活動間隔は約2千~3千年と推定。宇土区間にも活断層が確認されたが、活動性は低いとみられ、宇土半島北岸区間も海岸線が活断層をうかがわせるものの、詳細な調査はなされていない。

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 また、日奈久断層帯はこれまで3区間としてきたが、今回の調査結果を踏まえ、高野-白旗区間(約16キロ)、日奈久区間北部(約18キロ)、同南部(約25キロ)、八代海区間(約24キロ)の4区間に変更。断層の構造から、日奈久区間を新たに北部と南部に分割したため、「それぞれの区間が単独で動くケースでは、従来の予想より地震の規模はむしろ小さくなる」と言う。

 ただ、日奈久断層帯全域が連動して動いた場合は、最大M8・1の大地震が想定されるという。どの区間から破壊が始まり、どのように揺れが伝わるかによって、各地の揺れの大きさは異なるため、今回、県内12市19町4村を含む約100地点で地盤の強度も調査。高野-白旗区間から破壊が始まり全区間に連動した場合、熊本から八代にかけて平野部のほぼ全域に加え、宇土半島と天草上島の一部で震度6弱以上の大きな揺れが予想されることが分かった。

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 震度は、表層地盤の硬さにも左右される。阿蘇カルデラの巨大噴火による火砕流堆積物が地表を覆う熊本県内は、豊かな地下水に恵まれているが、地盤が軟弱という弱点も併せ持つという。

 「同じ強さの地震でも地盤が軟らかければ揺れは増幅される。熊本にはもう一度、熊本地震と同じ震度7クラスの地震が確実にくることを肝に銘じてほしい」と清水教授。対策として「寝室だけでも耐震化すれば命を守ることができる。ぐらっときたら、その部屋に逃げ込む-という行動を普段から意識してほしい」と呼び掛ける。(松本敦)

(2019年10月18日付 熊本日日新聞朝刊掲載)