長崎ダルク設立20周年 依存症さまざま 回復を支援

利用者らと談笑する中川代表(左から3人目)=長崎市目覚町

 薬物やアルコールなどさまざまな依存症の回復に取り組むNPO法人ちゅーりっぷ会「長崎ダルク」(中川賀雅代表)が設立20周年を迎えた。近年、刑務所や保護観察所などと連携し、罪を犯した依存症者の更生にも関与するなどその存在感は高まっている。

 長崎ダルクは1999年設立。長崎市目覚町に回復支援施設がある。市内のグループホームなどで共同生活をしている約20人が週に数回、回復に向けたミーティングや清掃活動などに取り組んでいる。2016年に長崎市魚の町に「眼鏡橋相談室」を設置。佐世保市での相談所開設も検討しているという。

 これまで相談、通所、入所などで長崎ダルクに関わった人は千人以上。危険ドラッグ、ギャンブル、ゲーム…。社会情勢の移り変わりとともに利用者の依存対象は多様化し、背景に知的障害や発達障害などの問題が隠れているケースが少なくないことも分かってきた。

 中川代表は「精神障害による幻覚、幻聴を消すために薬物に手を染めた人もいた。障害など根っこの問題を解決しなければ、依存症の回復にはつながりにくい」と指摘する。

 厚生労働省の研究班が2016~2018年度、全国57団体のダルク利用者計約700人について断薬や就労状況について調査したところ、調査開始から2年が経過した時点での再犯率は約3%にとどまり、約半数はアルコールも薬物も一度も使用しない状況を保つことができていた。中川代表は「長崎でも同様の傾向がある。(ダルクでの)良好な人間関係などがいい効果を挙げている」と分析する。

 設立当初、精神科病院などからの紹介で入所する人が多かったが、近年、刑務所や保護観察所、罪を繰り返す障害者・高齢者の社会復帰を支援する「県地域生活定着支援センター」(諫早市)などと連携し、薬物犯罪などで服役した依存症者を受け入れるケースが増えてきた。

 中川代表は「社会に求められる役割を果たす責任がある。依存症に苦しむ人たちは仕事や家族・知人との人間関係などにも苦しんでいる。依存症を克服してはじめてそうした問題にも向き合える。人生の再スタートを切れるように支援していきたい」と話す。

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