NASCAR第31戦:降雨中断と3度の多重クラッシュが起きる大混戦をフォードのブレイニーが0.007秒差で制す

 2019年のモンスターエナジーNASCARカップは10月13~14日、アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイで第31戦が行われ、降雨による中断と多重クラッシュ“ビッグ・ワン”が複数回起きる荒れた展開を、ライアン・ブレイニー(フォード・マスタング)がわずか0.007秒差で制した。

 1周2.66マイル(約4.2km)のタラデガ・スピードウェイはシリーズ最長のオーバルトラックで、“ドラフティング”を使った集団走行による接近戦が繰り広げられる1戦。マシンがパックになり走行するため、小さなミスが多重クラッシュにつながりやすいトラックでもある。

 決勝レースは13日(日)に55周、55周、78周の3ステージ合計188周でスタートを迎えた。

 ステージ1はチェッカー目前の51周目にラップリーダーへ浮上したウイリアム・バイロン(シボレー・カマロZL1)がトップチェッカー。2位にジョーイ・ロガーノ(フォード・マスタング)、3位にアレックス・ボウマン(シボレー・カマロZL1)が続いた。

 ステージ1からステージ2へのインターバル中、トラック上には雨が降り始める。この雨とタラデガにはナイトレース用の照明設備がないことからレースは中断となり、翌14日(月)に再開されることとなった。

 14日の14時過ぎ、レースはイエローコーション状態で再スタートが切られると上位陣は続々とピットへ向かう。一連のピット作業が終わると、ブレイニーがラップリーダーの状態で63周目からレース再開となった。

 そしてステージ2チェッカーまで残り4周となった107周目、ターン3への飛び込みでラップリーダーだったボウマンがディフェンスラインを取ると、ここに前を抑えられる形となったロガーノがヒット。バランスを崩したボウマンのマシンはチェイス・エリオット(シボレー・カマロZL1)やマーティン・トゥルーエクスJr.(トヨタ・カムリ)などを巻き込む多重クラッシュ“ビッグ・ワン”を引き起こしてしまう。

 このクラッシュでステージ2はイエローコーションのまま、クリント・ボウヤー(フォード・マスタング)を先頭にチェッカーとなった。

 迎えた最終ステージ3も終盤の162周目、さらにはチェッカーまで6周となった182周目に“ビッグ・ワン”が発生。特に182周目のアクシデントでは上位集団にいたブレンダン・ゴーギャン(シボレー・カマロZL1)のマシンが宙を舞い、きりもみ旋回しながら着地する場面も見られた。

 レースは187周目に再開されると、デニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)とブレイニー、ライアン・ニューマン(フォード・マスタング)がトップを争いながらファイナルラップを迎える。

 ファイナルラップのターン4立ち上がりではブレイニーがトップにつけていたが、その後方からドラッグを使ってニューマンが加速、さらにアウト側からはハムリンも飛び出し、3台はほぼ横並びでフィニッシュラインを通過。結果は写真判定へと持ち込まれる。

2019年NASCAR第31戦を制し、キャリア通算3勝目を挙げたライアン・ブレイニー(フォード・マスタング)

 その写真判定の結果、わずかにマシンのフロント部分が前に出ていたブレイニーがキャリア通算3勝目を達成。2位に続いたニューマンとは0.007秒差だった。

 この週末はNASCARガンダー・アウトドアズ・トラック・シリーズの第20戦も併催され、スペンサー・ボイド(シボレー・シルベラード)が優勝。2~3位にトヨタ・タンドラ勢が続いた。ハットリ・レーシング・エンタープライズが投じるオースティン・ヒルの16号車タンドラは6位でチェッカーを受けている。

 2019年のモンスターエナジーNASCARカップ第32戦は10月20日、カンザス州カンザスシティのカンザス・スピードウェイで行われる。

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