WRC:トヨタ、王座目指して第13戦スペインへ。マキネン「全タイトル獲得へ攻めの姿勢を続ける」

 2019年のWRC世界ラリー選手権にワークスチームとして3台のトヨタ・ヤリスWRCを投じているTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次なる戦いはシリーズ唯一のミックスサーフェスイベント、10月24~27日に行われる第13戦スペイン(ラリー・エスパーニャ)だ。

 全14戦で争われている2019年のWRCも、このラリー・エスパーニャを含めて残り2戦。トヨタ陣営としてはランキングトップにつけるオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組が、今大会終了時点でランキング2位との差を30ポイント以上に広げると、最終戦を待たずに初のドライバーズチャンピオンを手にできる。

 またマニュファクチャラーズチャンピオンシップでは、現在首位のヒュンダイとは8ポイント差で、逆転でのタイトル防衛も充分可能な状況だ。

 シリーズチャンピオン争いを見据えた上で重要な1戦となるラリー・エスパーニャは、競技初日はグラベル(未舗装路)イベントとして、競技2日目以降はターマック(舗装路)イベントとして行われるシーズン唯一のミックスサーフェスイベントという特徴を持つ。

メカニックは限られた時間内でマシンの仕様を変更するべく作業する

 競技初日にグラベルでの走りを終えると、チームのメカニックは限られた作業時間のなかでマシンをターマック仕様にするべくサスペンションや駆動系などのパーツを交換する必要があり、ドライバーにもドライビングスタイルなどの切り替えが求められる。

 競技の中心となるサービスパークは、スペイン北東部カトロニア地方にあるリゾートタウン、サロウにあるテーマパーク『ポートアベンチュラ』内の駐車場に設けられる。

 競技開幕前最後の走行チャンスとなるシェイクダウンは24日(木)、現地9時1分(日本時間16時1分)ごろに全長2kmのグラベルステージで行われる。この日は現地19時ごろからセレモニアルスタートが行われるが、その後の走行はなし。翌25日(金)にSS1~6までが行われる。

 競技初日の25日はグラベル主体の構成だが、今大会最長の38.85kmを走るSS3/6はステージ途中にターマックセクションも通過する構成だ。

 競技2日目の26日(土)からはターマック主体での争いとなり、この日はSS7~13までが行われる。競技最終日の27日(日)はSS14~17で構成、最終ステージのSS17はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージとして設定されている。

 全17SS合計の走行距離は325.56km。リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は1288.85kmだ。

 トヨタ陣営としては、これまで同じくタナク、ヤリ-マティ・ラトバラ、クリス・ミークの3人がワークスチームから参戦。またトミ・マキネン・レーシングOYからは勝田貴元も参戦し、4台目のヤリスWRCを走らせる。

■トミ・マキネン「最強のクルマを提供するために、全員が一生懸命働いている」

 チーム代表を務めるトミ・マキネンは「ここまで順調に進んでいるが、ドライバーズ/コドライバーズとマニュファクチャラーズの全タイトルを獲得するためには、攻めの姿勢を続けスペインと(第14戦)オーストラリアで最高の結果を得なければならない」と気を引き締める。

「スペインに向けては、グラベルとアスファルトの両路面でプレイベントテストを行ない、準備は予定どおりに進んでいる。ミックスサーフェス・ラリーであるが故に正解を求めるのは簡単ではないが、我々のクルマはきっとどちらの路面でも高いパフォーマンスを発揮してくれるはずだ」

「とはいえ、現時点で何かが保証されているわけではなく、ドライバーに最強のクルマを提供するために、全員が一生懸命働いている」

 初の王座獲得に期待がかかるタナクは「いつものようにベストを尽くして戦うつもりだが、賢く戦う必要もある。昨年の速さを今年も再現することができれば、きっと我々が望む結果を得られるはず」とコメントした。

 またラトバラは「先週、スペインのターマック路面でテストをした。とてもいい感覚で運転でき、モチベーションが高まっている」と意気込みを語ったほか、ミークも「マニュファクチャラーズタイトル争いは接戦状態だから、持てる力をフルに発揮して戦い、自分の役割を果たさなければならない」と上位入賞を誓っている。

© 株式会社三栄