ハイキングコース通行止め続く 台風15号の爪痕深く 鎌倉市

通行禁止となっているハイキングコース=9月9日、鎌倉市内(同市提供)

 台風19号による被害が各地で拡大する中、鎌倉市内では1カ月前に三浦半島を直撃した台風15号による影響が長引いている。倒木などにより、多くの観光客が訪れるハイキングコースが利用できない状態が続いており、市や市観光協会はホームページや会員制交流サイト(SNS)、看板などで周知を強化している。

 市の観光マップに掲載されているハイキングコースは▽天園コース(約4.5キロ)▽葛原岡・大仏コース(約3キロ)▽祇園山コース(約1.5キロ)の三つ。いずれも豊かな自然を満喫できる山道だが、台風15号の影響で9月9日から通行禁止となっている。

 市観光課によると、複数箇所で崖崩れや倒木、地滑りなどが発生。今月の台風19号による被害状況については確認を続けている。

 木の根ごとめくれ上がっている箇所も多く、穴の埋め戻しなどが必要とされることから「復旧には数カ月を要する見込み」という。また、コースには民有地が含まれているため、作業が土地の形状を変更する規模になる場合、土地所有者の了解を得ることも欠かせなくなるという。

 市はSNSでの発信や、コース入り口の看板設置、遠足などで市内を訪れる学校への事前通知といった方法で周知を徹底。市観光協会はホームページで通行禁止を知らせているほか、寺社をはじめ観光スポット約70カ所の拝観などの可否を掲載している。

 同課によると、天園コースには昨年延べ約24万人が訪れており、11月下旬からの紅葉シーズンは特に人気があるという。同協会は「現地に来てハイキングコースの通行止めを知ったという観光客もいた。市内には神社や寺など楽しめる場所が他にも数多くある。今後もコースの通行禁止と併せて情報発信をしていきたい」と話している。

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