駄菓子屋「モリショー」が“復活” 住民有志 95歳の名物おばあちゃんをサポート

子どもと会話しながら駄菓子を販売する森さん=長崎市西北町

 「モリショー」の愛称で親しまれた長崎市西北町の駄菓子屋「森商店」。今年の春、名物店主・森嘉壽子さん(95)が体調を崩し閉店したが、地域の人たちが週1回限定で営業する「森のくまさん」として再開させた。元気になった森さんも“看板娘”として店に立つ。子どもたちは「おばあちゃんが帰ってきた」と喜んでいる。

 森商店は1985(昭和60)年、市立西北小の近くに開店した。専業主婦だった森さんに、夫の故・清さんが「やってみんね」と勧めたのがきっかけ。一人で切り盛りし、問屋に仕入れに行く時は毎回、両手に大きな袋をぶら下げてバスで通った。お気に入りの駄菓子を買って喜ぶ子どもの顔を見るのが「生きがい」になった。
 名物店主のおばあちゃんがいつでも温かく迎えてくれる「モリショー」。30年以上営業したが、森さんの体調不良で今年4月惜しまれつつ閉店。しかし、子どもたちの間で「おばあちゃんに会いたい」「モリショーに行きたい」との声が高まり、6月、住民有志が森さんと話し合って店を再開させることにした。
 住民の一人、粟村康則さん(65)は「昔、店に通っていた子どもたちが、親になって自分の子どもを連れてくる。モリショーは地域の憩いの場であり、シンボル。なくしてはならないと思った」と語る。
 「森のくまさん」は、旧森商店の近くの熊ケ倉公民館で主に週1回(木曜か土曜)オープン。10、20、30円の3種類の駄菓子を販売し、店内で食べたり遊んだりできる。住民たちが仕入れや陳列などを担当し、森さんは店番係。商品を入れる袋は、森さんが新聞のチラシで手作りしている。近くの子どもたちや家族連れが訪れ、毎回盛況だ。
 “常連”の道平夏緒さん(10)、宮崎桃愛さん(10)、川口依織さん(10)=いずれも西北小4年=の3人は「おばあちゃんが戻ってきてうれしい」と喜びを隠しきれない様子。昭和、平成、令和と時代を超えて子どもたちを見守ってきた森さん。「今も昔も変わらず子どもたちはかわいい。できる限り続けていきたい」と目を細めた。

子どもたちでにぎわう「森のくまさん」。駄菓子はすべて10~30円とリーズナブル

© 株式会社長崎新聞社