手探りの「船出」 企業 “育て損”警戒し様子見

 新制度開始から半年。出入国在留管理庁によると、全国で新たな在留資格「特定技能1号」を許可されたのは376人にとどまっている。県内でもまだわずかとみられ、手探りの「船出」となっている。

 同庁によると、新制度の対象は14業種。政府は今後5年間で約34万人を受け入れる計画で、本年度は最大4万7550人を見込んでいる。しかし、9月27日現在で1号の資格取得者は計376人。試験合格者が231人。技能実習から無試験での資格変更許可は145人。見込み数の0.5%にとどまる。
 県内の監理団体の関係者は「外国人労働者のニーズや関心はあるが、県内の企業はまだどこも様子見なのが実情」。ネックなのが、特定技能が同一職種間で転職が可能なことだ。「せっかく人材育成しても都市部に流出すれば“育て損”。3年間の技能実習の枠組みでぐるぐる回した方がいい」と明かす。
 一方、県は7月、県内在住の外国人らからの相談窓口を長崎市出島町の県国際交流協会内に設置。英語、ベトナム語に対応できる相談員2人が常駐している。9月末までの3カ月間の相談件数は計45件。山田芳則事務局長は「雇用関係の悩みが多い。次第に増えてきている」と話す。

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