磁場による固体電子の量子化エネルギーを導く理論手法 電気通信大学が開発

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電気通信大学の研究グループは、磁場によって量子化される固体電子のエネルギーを初めて厳密に求めることに成功した。

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金属や半導体中の電子は、磁場によってエネルギーが量子化される。固体中の電子の状態は、1928年に生み出されたF.ブロッホの理論で求められ、(固体中ではなく)真空中で磁場を加えた場合の電子の状態は、1930年に生み出されたL.D.ランダウの理論で求められる。しかし、「固体」に「磁場」をかけた場合の電子状態は、単純にブロッホの理論とランダウの理論を組み合わせることはできず、現代においても正確に計算することが困難とされてきた。一方、固体電子における相対論効果(電子の持つスピンとその軌道運動の間の相互作用による効果)が近年注目を集め、活発に研究されるようになるにつれ、磁場中量子化エネルギーの厳密な計算手法が求められるようになってきたという。こうした中、本研究者らは、「行列力学」を応用して量子化エネルギーを計算する手法を開発することに成功した。まず、1955年にJ.M.ラッティンジャーとW.コーンが導いた、固体中の周期ポテンシャルと磁場を両立する方程式を詳しく解析することから始めた。ラッティンジャー・コーンの方程式は非常に複雑で、(簡単化した特別な場合を除いて)一般には解くことができなかったが、これを解く数学手法を模索した結果、行列力学ならば可能であることを発見した。この発見を元に完成させた手法を用いて、最近その相対論効果が問題となっている半導体PbTeの計算をしてみると、相対論効果が磁場によって大きく変動するというこれまでの常識を覆す現象が明らかになり、従来理論とは隔たりのあった観測値を、矛盾なく理解できるようになったという。本手法は様々な物質に応用可能で、相対論効果の理解を深化させると期待される。論文情報:

【Physical Review Letters】Nonperturbative Matrix Mechanics Approach to Spin-Split Landau Levels and the g Factor in Spin-Orbit Coupled Solids