ルクレール「自分がフェラーリF1のナンバーワンだとは考えていない」。ベッテルから吸収している段階と語る

 シャルル・ルクレールは、今や彼がフェラーリF1チームのナンバーワンドライバーであるという見方を一蹴し、そういうことを考えるより、まずはベテランのチームメイト、セバスチャン・ベッテルから多くのことを学びたいと語った。

 最近のレースでは、ルクレールと4度のF1世界チャンピオンであるベッテルとの間に、摩擦の兆候が見られている。
 チームがベッテルを優遇するようなレース戦略を採用した際に、ルクレールが不満を示した場面があった。また、ロシアGPでは、ベッテルは事前の戦略に合意していたにもかかわらず、レース首位のポジションをルクレールに戻すようにとのチームの指示に従おうとしなかった。

 こういったことからチームメイト同士の関係性について懸念を示す者もいるが、ルクレールは、自身のドライビングを改善することに集中しているとして、チームメイトのベッテルが持つ豊富な経験から学ぶチャンスを生かしていきたいと発言している。

2019年F1第17戦日本GP予選 PPのセバスチャン・ベッテルと2番手のシャルル・ルクレール

『Channel 4』からフェラーリはどちらをナンバーワンと考えていると思うかと聞かれ、ルクレールは「誰がナンバーワンで、誰がナンバーツーかを決めるのは僕ではない。それは最後に分かることだ」と答えた。

「セバスチャンは4回世界チャンピオンになっている。僕はまだゼロだ。彼には多くの経験がある。すごく速くて強力だ。僕は彼から多くのことを学んでいる」

 昨シーズンにザウバーからデビューを果たしたばかりのルクレールにとっては、学習すべきことはまだ山ほどある。

「来年のマシンを見るというのは僕にとっては新しい経験だ。なぜならこれまでは毎年チームが変わっていたからね。でも今のところは、そうした状況から学んでいる」とルクレールは言う。

「セブ(ベッテル)が隣にいることは、僕にとって本当に助けになっている。彼はマシン開発にどう取り組むかということや、エンジニアに伝えるべき重要なことは何かを判断することに慣れている」

「エンジニアに伝えることは数多くある。でもすべてのことを伝えたら、彼らを少し混乱させてしまうんだ」
「言いたいことを選ぶ必要があるし、こういう点でセブはとても助けになってくれる」

 ルクレールは第17戦日本GP終了時点でドライバーズ選手権で221ポイントを獲得して3位につけている。一方、ベッテルは9ポイント差のランキング5位だ。ベッテルはレッドブルのマックス・フェルスタッペンと同点だが、優勝回数の差でフェルスタッペンより下位となっている。

 鈴鹿での結果により、3人はドライバーズタイトルを獲得できる可能性を失った。チャンピオン争いの権利を持つのはルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのみで、メルセデスはコンストラクターズタイトル獲得にも成功している。

 しかしフェラーリは、シーズン残りの4戦でできる限り多く優勝を飾るためのモチベーションを保っている。興味深いのは、ふたりのうちどちらの方が多く勝つかということだ。

 ここまでの17戦のなかで、ルクレールはベルギーとイタリアで2連勝を飾っている。また、バーレーンGPでの初ポールポジション以来、合計6回のポールポジションを獲得した。対するベッテルは、シンガポールGPで優勝、ポールポジションを2回達成してきた。

 ルクレールは、フェラーリに適応し、自身のパフォーマンスを向上させるために努力を重ね、その成果が現れてきていると語った。

「第9戦まで、僕は自分の予選のパフォーマンスにまったく満足できずにいた。それをはっきりと覚えている」とルクレールは言う。

「でもマシンに関していくつか向上を図り、セットアップへのアプローチを改善するため、懸命に取り組んだ」

「序盤の数戦はとても苦労した。僕のセットアップはレースに関しては少しアグレッシブすぎたかもしれない。その後、アプローチを変えて、今はよくなったと思う」

 ルクレールは、フェラーリに加入した今年、チャンピオンのハミルトンと優勝争いができることがうれしいと語っている。

2019年F1第2戦バーレーンGP トラブルで勝利を失ったシャルル・ルクレール(フェラーリ)を慰めるルイス・ハミルトン(メルセデス)

「ルイスはいつも僕に良くしてくれる」と22歳になったばかりのルクレールは言う。

「彼は僕のところに来るたびに、何か良いことを言ってくれるんだ。彼のようなチャンピオンからそうした言葉を聞けるのは、いつだって名誉なことだよ」

「昔F1を観ていた時、そこにはいつもルイスがいた。いつかここに加わるんだと夢見てきたんだ。今では彼とコース上で戦っているし、彼は僕について良いことを言ってくれる。素敵なことだね!」

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