新人医師研修先の内定 「マッチング制度」で県内過去最多に

県内の病院別マッチング結果

 来春の新人医師の初期臨床研修先を決める本年度の「マッチング」で、本県の研修病院では過去最多の計126人(マッチ者)の内定が19日までに決まった。県全体の定員に対する充足率は87.5%で、2003年度のマッチング制度の導入以来最高を記録した。
 マッチングは、医師を目指す学生と受け入れ病院の希望の組み合わせで研修先を決める仕組み。04年度から始まった新医師臨床研修制度に伴い導入された。
 県と研修病院でつくる県医師臨床研修協議会「新・鳴滝塾」によると、県全体の定員は昨年度に比べ1人増の16病院144人で、マッチ者は5人増加。県外の大学で学んだ人も含め、県内出身者が81人と6割超を占めた。
 今後、医師国家試験などを経て減る可能性はあるが、最終的に100人以上を採用できる見通し。新・鳴滝塾の事務局を務める長崎大学病院医療教育開発センターの濱田久之教授は「病院間で連携して研修プログラムをつくるなど県全体で医師養成の体制を整え、地道に誘致活動を続けてきた結果」としている。
 かつて県内では100人前後の研修医を集めていたが、新医師臨床研修制度は基本的な診療能力の習得を重視したため、一般症例の多い大都市の公立病院や民間病院に人気が集中。08年には採用者は68人にまで減少。医師不足により診療科を閉鎖する医療機関が相次いだ経緯がある。
 地域医療崩壊への懸念から、新・鳴滝塾が10年に発足し、県全体で医師の誘致活動を展開。17~19年度は毎年、100人前後の研修医を採用できるようになったという。

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