【医師監修】マタニティスイミングのメリットは? 妊娠中のスイミング、取り組む前の条件と注意点

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この記事の監修ドクター
直林奈月先生
赤心堂病院産婦人科勤務(埼玉県川越市)高知医科大学卒業後、太田⻄ノ内病院、高知大学医学部附属病院、船橋二和病院を経て現職。
産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、母体保護法指定医師、女性ヘルスケアアドバイザー

そもそも妊娠中に行えるエクササイズの条件とは?

妊娠中にマタニティスイミングを含むスポーツをするには、いくつかの注意点や条件があります。まずは妊娠中に行えるエクササイズの条件についてお伝えします。

どんな妊婦ならばスポーツOK?

妊娠中にスポーツを行ってもいいとされる妊婦さん側の条件は次の通りです[*1]。

・正常な妊娠で、過去の妊娠でも早産や繰り返す流産をした経験がない
・お腹の赤ちゃんは1人であって、発育にも異常がなく順調
・エクササイズを初めて行うのは、妊娠経過に問題がない妊娠12週(4ヶ月)以降

なお、十分にメディカルチェックをしても異常がなければ、エクササイズをやめる妊娠時期は制限されないとされています。上記の条件を満たしていても自己判断はしないで、まずはマタニティスイミングを始めても大丈夫かどうか、かかりつけの産婦人科医師に相談しておきましょう。もし止められたらば、無理はしないことが大切です。

運動する環境や種目などの条件

妊婦さんの条件が揃っていたら、次は運動する環境や種目などについても考えておきましょう[*1]。

運動する環境

・真夏の炎天下に屋外で行うものは避ける
・陸上スポーツの場合は、平坦な場所で行うものが理想的

種目としては、全身をまんべんなく使った有酸素運動で、楽しく長続きするものを。妊娠前から続けてきたスポーツは中止しなくてもいいが、ハードな運動は避ける。競技やお腹を圧迫するもの、瞬発的な動きがあるもの、転倒する危険性のあるもの、相手とぶつかる恐れがあるものは避ける。

妊娠16週(5ヶ月)以降は、仰向けで行う運動は避ける。

運動強度

・心拍数が1分当たり150bpm以下。「ややきつい」と感じるよりは弱いものが理想的
・連続して運動する場合は、「やや楽」と感じるレベルくらいまでの運動までにする

エクササイズを行う時間帯・頻度

・時間帯:午前10時~午後2時の間に行うのが理想的
・頻度:週2~3回(1回あたり60分以内)

がんばって運動したくなっても我慢して、妊娠中はゆるやかに、体への負担を抑えた運動にとどめておきましょう。

マタニティスイミングのメリット

マタニティスイミングには様々なメリットがあります。お母さんの心と体はもちろん、赤ちゃんや出産へのメリットも知っておきましょう。

体へのメリット

マタニティスイミングは浮力を利用するので、お腹が大きな妊婦さんでも安全に有酸素運動をすることができます。

マタニティスイミングが妊婦さんの体に与える影響を調べたある調査[*2]では、マタニティスイミングをすることで体重が増え過ぎるのを防ぐ可能性があるという結果となりました。また、妊娠後期に起こりやすいむくみや腰痛に関しても、マタニティスイミング後に改善傾向が見られました。

心へのメリット

妊娠中は、理由もなくイライラしたり落ち込むこともあります。マタニティスイミングは、こうしたネガティブな気持ちにも効果が期待できます。

マタニティスイミングの精神的効果を調べた調査[*3]では、スイミングを行った後に快適感やリラックス感、満足感が増したという結果が出ました。さらに、マタニティスイミングのプログラムを10回続けたことで、調査対象となった妊婦さんの「怒りや敵意」「緊張感や不安感」「抑うつ感や落ち込み」などの感情も減少していました。

マタニティスイミングを受けることで、同じ時期に出産を迎える仲間を見つけることもできます。イライラしたり暗い気持ちになったり、不安感が募りがちな時には、マタニティスイミングで気分転換したり、友だちづくりをするのもいいでしょう。

赤ちゃんへのメリットと出産への影響

マタニティスイミングなどを含む運動がお腹の赤ちゃんに与える影響については、様々な研究がなされていますが、いい影響を与えることを示唆するものが多くあります。その背景のひとつとして考えられるのが、エクササイズによって起こる血流や呼吸器の状態などの変化を胎児が経験することで、陣痛や分娩の時の環境の変化にも適応しやすくなるというものです[*4]。

また、マタニティスイミングなどの運動を続けることで、妊婦さん自身も体力を維持することができ、陣痛や分娩にも対応しやすくなります。

赤ちゃんにも出産にもメリットがあるなんて、うれしいですね。

マタニティスイミングの種類

「スイミング」といっても「泳ぐ」だけではなく、施設によってさまざまなプログラムが用意されているようです。代表的なものを見てみましょう。

水中エアロビクス・水中ウォーキング

マタニティスイミングに一番多いのがこの水中エアロビクスと水中ウォーキングです。
その名の通り、水の中でエアロビクスやウォーキングをするため、泳いだり顔を水につける必要もなく、水泳が苦手な人でも安心して参加できます。

水中座禅・ラマーズ呼吸法

水中座禅では、水中で座禅を組み、長く息を留めながらいきむ練習をしたり、いきみの間の息継ぎの練習をします。ラマーズ呼吸法も、水中でラマーズ呼吸法を練習するためのコースです。

遊泳・水泳コース

妊娠前から水泳を続けてきたり、運動が得意な妊婦さんに合っているのが、こうしたクロールなどのスイミングを教えてくれるレッスンです。
通常のスイミングと違うのは、休憩を細かく取ったり、妊娠中は避けた方がいい泳ぎ方を指摘してくれる点。そのため、妊娠中に安全に水泳をしたい人にはおすすめです。

水中ストレッチ

リラックスが中心のマタニティスイミングです。水中でストレッチを行うなど、心身ともにリラックスできる内容となっています。

マタニティスイミングをやろうと考えたら、どんなコースが自分に合っているか考えておきたいですね。

マタニティスイミングをやるならここで

マタニティスイミングの講座の選び方

マタニティスイミングは、スイミングスクールの中で開講していたり、医療機関の主催などで行われています。

どこのマタニティスイミングを選ぼうかと迷ったら、通いやすさや実施内容のほか、「スイミングの前に助産師や看護師などの医療資格者がチェックを行っているかどうか」を参考にすると安心でしょう。

こんな時は中止しましょう

マタニティスイミングを始めた後も、体調に不安を感じたり違和感を感じたら、無理せず中止するようにしましょう。一度始めるとついがんばりたくなることもありますが、自分とお腹の赤ちゃんの安全を優先することが何よりも大切です。
特にこうした症状が見られたら、マタニティスイミングは必ずすぐに中止して、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう[*5][*6]。

・性器からの出血
・めまい
・頭痛
・運動を開始する前から息切れが増している
・胸の痛み
・安静にしていても痛みを伴う子宮収縮が続く
・腟から液が漏れる、または噴出する
・ふくらはぎが痛む、または腫れる
・筋力が落ちてバランスが取りにくくなった

まとめ

マタニティスイミングは、浮力を利用するため、妊娠中でも無理なく有酸素運動が行えるおすすめのエクササイズです。妊婦さんの心や体にいい影響を与え、お腹の赤ちゃんや出産の際にもメリットが期待できます。さらに、同じ時期に出産を迎える仲間づくりにもつながります。
ただし、過去と現在の妊娠経過に問題がなく、かかりつけの産婦人科からもマタニティスイミングを行っていいと言われてから行うことが大切です。また、無理がなく安全な運動内容や環境かどうかも考え、体調に配慮しながら受講していきましょう。

(文:大崎典子/監修:直林奈月先生)

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