オール九州 応援決議 実効性に疑問

長崎IRの行方 佐世保誘致への課題・3

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九州へのIR誘致について考えた福岡青年会議所主催のシンポジウム=福岡市中央区

 大型スクリーンには福岡市の洗練された街並みと、大勢の外国人観光客を受け入れる様子が映し出された。そして、メッセージが浮かび上がった。
 「IR with the KYUSYU」(IRを九州とともに)-。
 9月30日、福岡市内で開かれたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を考えるシンポジウム。主催した福岡青年会議所は、作り込んだ映像を用いて福岡市には世界とつながる空港や港湾があり、交通アクセスはアジアトップクラスだと強調した。その上で、九州全体を活性化させるため、IR誘致を市に提言することを表明した。
 「オール九州」の看板は、長崎県がハウステンボス(HTB)への誘致を目指す長崎IRの“専売特許”とするはずだった。6月に開かれた九州知事会と九州地域戦略会議では、官民が一体となり長崎県の取り組みを応援すると決議。県担当者は「九州の協力を取り付けた」と手応えを口にしていた。
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 しかし、決議の実効性には疑問符が付く。福岡市だけでなく北九州市でも以前から民間で誘致の動きがあった。地元企業でつくる同市IR推進協議会は、北九州空港や小倉駅周辺を候補地として想定。協議会は「こちらにも十分なポテンシャルがある。自分の地域に自信があるのなら誘致段階で『オール九州』という言葉はいらない。九州への波及効果を考えるのは実現してからの話だ」とくぎを刺す。
 国にIR区域の認定を申請できるのは自治体と決まっている。福岡、北九州の両市とも国の意向調査に対し「誘致を検討していない」と回答している。
 ただ、福岡県の小川洋知事は長崎県を支援するそぶりを見せず、地元誘致の可能性を否定していない。福岡商工会議所の藤永憲一会頭も「九州の経済界として佐世保を応援するとは言ったが、具体的に何をするかは決まっていない」と淡々と語る。
 福岡県内の動きはIR事業者も注視している。北九州市には、すでに複数の海外事業者から問い合わせが寄せられているという。
 長崎IRへの参入を目指すある事業者も「われわれが高く評価しているのは九州全体の魅力だ。佐世保が最優先だが、選ばれないケースも想定している」と明かす。この事業者が最も注目するのは、銀行やエネルギー、鉄道など福岡市の有力7社で構成し、九州政財界に強い影響力を持つ「七社会」の動向。そしてこう先を読む。「九州のどこにIRを誘致するべきか。最後に決めるのは福岡の経済界だろう」