【コラム・天風録】暑さに打ち勝てるか

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 体を慣らすには90度のサウナが有効、ウオーミングアップには冷却剤入りのベストを着てサングラスも忘れずに…。国際オリンピック委員会(IOC)が来夏の東京五輪の暑さ対策として、選手向けに手引書をまとめた。タイトルはずばり「暑さに打ち勝て」▲そんな精神論に頼むような対策では心もとないと判断したのだろうか。IOCが突然、マラソンと競歩を札幌で開催すると言いだし、そうなりそうだ。東京より気温が5、6度低く、「選手にはずっと安全だ」という▲もっともだが、東京の酷暑は最初から分かっていたはず。そもそも真夏の開催にこだわったのはIOCだ。多額の放映権料を払う海外のテレビ局への配慮から。マネーを優先し、「選手第一」を徹底できなかったのに▲暑さを想定し練習を重ねた選手もいる。準備や対策が徒労に終わりかねず、困惑や反発が広がるのも無理はない。ただ「北方領土でやったら」という都知事の発言はいただけない。選手ばかりか五輪を軽んじていよう▲妙案がなければ、札幌でやるしかあるまい。これ以上混乱を広げないよう選手第一の視点で準備を急ぐべきだ。あと10カ月足らず、時間との闘いに打ち勝てるか。