フリーメーソン木箱 江戸後期の日本に

 長崎県長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館に展示された江戸後期の長崎青貝細工の木箱。ふたの部分には、イギリスで組織されたとされる団体「フリーメーソン」のシンボルがあしらわれている。
 光沢のある夜光貝などの殻を用いた技法で、団体のシンボルである「プロビデンスの目」やコンパスが表現されている。学芸員の長岡枝里さんによると、江戸後期は青貝細工の海外需要が高く、木箱も日本の職人が外国人から注文を受けて原画を基に作ったとみられる。
 誰が作ったのか、誰が使ったのか。もしかしたら江戸の日本にもフリーメーソン会員がいたのかもとの空想もかきたてられる。きらきらとしたシンボルの神秘に、思いを巡らせてみては。

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