「NHKが被災地取材で町のタクシー3台を貸し切り」は不正確、ネットで拡散

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「台風の被災地取材に向かうNHKが別の町のタクシーを3台を貸し切り、その町からタクシーがいなくなってしまった」という言説がTwitter上で拡散している。

結論からすると、このツイートは不正確な情報だ。NHKが実際に利用していたタクシーは1台で、貸し切りではなかった。BuzzFeed Newsは、ファクトチェックを実施した。

Twitterより

ツイートは台風19号が直撃する1日前、10月11日のものだ。

千葉県鋸南町への取材でNHKが3台のタクシーを貸し切ってしまったため、大原駅(JR外房線、いすみ鉄道)前には1台もいなくなり、生活の足として利用しているお年寄りが困っている、という趣旨になっている。

鋸南町とは、台風15号で大きな被害を受けた町だ。「大原駅」のある千葉県いすみ市は距離がある。外房線と内房線を乗り継ぐと2時間弱。車でも1時間半ほどの場所だ。

投稿者は別のツイートで、実際にお年寄りから話を聞いたと述べている。その上で「自社の車で取材に向かって欲しい」と苦言を呈した。

このツイートは1万4000件以上リツイートされ、ネット上で大きく拡散。「被災地の方を困らせるのは如何なもの」「ボランティアだって自己完結でやってるのに」「何がジャーナリズムだ」などと、NHKを批判する声が溢れている。

実際のタクシー利用は…?

Google maps

ツイート内で名前があげられたタクシー会社によると、NHKがタクシーを利用したのは9月26日。

使用したタクシーは1台だけで、事前に予約を必要とする「貸し切り」ではなく、その場での利用だったという。

担当者は「3台貸し切り、ということはありません」とBuzzFeed Newsの取材に明言し、こう語る。

「たまたま乗った方が遠方に行かれることは、タクシーではよくあることです。また、大原にはタクシー会社が3社あったのですが、8月で1社がなくなってしまいました。そのため少ない台数で忙しくなっている点はありますが、地元の方は大事なお客様。不便にならないよう、できる限り回せるように調整しています」

NHKも、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。

「取材で1度、タクシーを利用しましたが、3台を貸し切ったなどの事実はございません。取材でのタクシーの適正な利用を、日ごろから指導・徹底しています」

とはいえ、なぜ先述の通り距離のある大原駅から鋸南町まで、タクシーを利用したのだろうか。JR東日本によると、9月26日は内房線、外房線ともに「おおむね通常運行」だった。

取材におけるタクシーの運用方法や当日の具体的な使用内容についてもNHKに取材したが、「取材制作の過程は答えられない」として、回答は得られなかった。また、ツイートをした人物には取材を申し込んだが、返答を得られていない。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • 不正確正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • ミスリード一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 根拠不明誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。