【MLB】ナショナルズ、17年ぶりの快挙なるか… WS初出場初優勝は2002年エンゼルス以来

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球団創設51年目で初のリーグ優勝とワールドシリーズ進出を決めたナショナルズ【写真:Getty Images】

ナショナルズがWS初出場、現30球団で唯一出場経験がないのは…

 ナショナルズが球団史上初のワールドシリーズ(WS)進出を果たした。前身であるモントリオール・エクスポズができたのが1969年。2005年に移転してナショナルズになって15度目のシーズンである。

 現在ある30球団でワールドシリーズ未出場はワシントンDCのナショナルズと、ワシントン州シアトルのマリナーズだけだった。米国の初代大統領の名を戴いた土地を本拠地とする、この2球団のみだったのだが、ナショナルズはマリナーズに先んじてリーグ優勝を果たしたわけだ。

 昨オフにはブライス・ハーパーがFAでフィリーズに移籍。主砲を失ったばかりのシーズンで球団史に残る快進撃を果たすという、なんとも皮肉な結果になった。チーム内に緊張感がみなぎって、まとまりができたのだろうかと思う。

 筆者は1999年から米国でメジャーの取材をしていて、これまでにワールドシリーズ初出場のチームをいくつか見てきた。資料をひっくり返してみたら、2001年のダイヤモンドバックス、2002年のエンゼルス、2005年のアストロズ、2007年のロッキーズ、2008年のレイズ、2010年のレンジャーズがあった。

球団創設4年目で頂点に駆け上がったダイヤモンドバックス

 2001年のダイヤモンドバックスは球団創設4年目。ランディ・ジョンソン、カート・シリングという左右の強力な先発投手で一気に頂点に駆け上がったのだった。

 ワールドシリーズでは4連覇を狙ったヤンキースが相手だった。この年はシーズン終盤の9月11日、同時多発テロでニューヨークは大変な被害を受けた。その直後だったため、この時のワールドシリーズは、テロに負けない米国人の不屈の根性を示す場になった。

 ヤンキースタジアムでの第3戦には、当時のブッシュ大統領が厳重な警備の中で来訪。始球式を行った。これだけの舞台装置が揃えばヤンキースが勝ちそうなものである。その通り、第4戦、第5戦と2試合続けて9回2死から起死回生の同点本塁打が飛び出し、延長戦に持ち込んだヤンキースがサヨナラ勝ち。シリーズ制覇に王手をかけた。奇跡的な勝ち方だった。

 ところが、最終的にはダイヤモンドバックスが4勝3敗で勝利。最終第7戦は9回に逆転サヨナラという劇的な幕切れだった。ヤンキースのクローザー、殿堂入りのマリアーノ・リベラはポストシーズン通算で96試合に登板して8勝42セーブ、防御率0.70という圧倒的な成績を収めたのだが、この時のただ一度だけ敗戦投手になっている。

 翌年はエンゼルスがワイルドカードから勝ち上がった。爆発力のある打線と、彗星のごとく現れた20歳のクローザー、フランシスコ・ロドリゲスの活躍で初めてリーグ制覇した。ジャイアンツとのワールドシリーズではバリー・ボンズを7試合で13度歩かせるという徹底マーク。4勝3敗で勝って、前年のダイヤモンドバックスに続いて2年連続でワールドシリーズ初出場、初制覇を果たした。

 2005年には当時ナ・リーグ中地区所属だったアストロズがリーグ初制覇を果たした。シーズンでは地区優勝のカージナルスに11ゲーム差をつけられて2位。プレーオフではブレーブスを3勝1敗、そしてカージナルスを4勝2敗で退けた。ロイ・オズワルト、ロジャー・クレメンス、アンディ・ペティットという先発投手陣がチームを引っ張った。ただ、ワールドシリーズではロッテの井口資仁監督が「2番・二塁」だったホワイトソックスに4タテで敗れ去った。

2007年ロッキーズ、2008年レイズを初出場に導いた日本人選手たち

 松井稼頭央のいた2007年のロッキーズは、9月16日以降、驚異的な成績を収めた。シーズン最後の15試合を14勝1敗。162試合目で地区2位のパドレスと並び、163試合目にもちこんだ。

 地元で行われたこの試合、6-6で延長に突入。13回表に2点を失ったが、その裏にパドレスの切り札トレバー・ホフマンを打ち砕いて3点取って逆転サヨナラ勝ちを収めたのだ。プレーオフではフィリーズとダイヤモンドバックスをいずれも無敗で撃破した。

 ただしワールドシリーズでは一転。インディアンスを4勝3敗と激戦の末に下した松坂大輔と岡島秀樹のいたレッドソックスの前に、1勝もできずに敗れた。リーグ優勝からワールドシリーズまで日にちが空きすぎ、勢いが止まってしまったようだ。

 2008年は岩村明憲が入団2年目を迎えたレイズが快進撃。1998年の創設から10年間、地区最下位9度、4位が1度と低空飛行を続けたてきたが、デビルレイズからレイズに改名した2008年には、あれよあれよという間に地区優勝を果たした。ジョー・マドン監督のもと、ジェームズ・シールズ、アンディ・ソナンスタイン、マット・ガーザ、エドウィン・ジャクソン、スコット・カズミアーの先発投手5人がいずれも2桁勝利と、安定した成績を残した。ただ、ワールドシリーズではチャーリー・マニエル監督率いるフィリーズに1勝4敗と屈している。

 2010年にはレンジャーズがジョシュ・ハミルトン、ブラディミール・ゲレーロ、ネルソン・クルーズ、マイケル・ヤングらで強力打線を形成。投手陣ではCJ・ウィルソン、トミー・ハンター、そして広島からの逆輸入コルビー・ルイスが2桁勝利をマーク。7月には左腕クリフ・リーを補強して、10年ぶりでプレーオフに進んだ。

 レイズとのディビジョン・シリーズでは敵地で2連勝した後に本拠地で2連敗。敵地での最終第5戦をものにして勝ち抜いた。チャンピオンシップではワールドシリーズ2連覇を狙ったヤンキースを4勝2敗で破った。ワールドシリーズではジャイアンツのティム・リンスカム、マット・ケイン、マディソン・バムガーナーという先発陣を攻略できず、1勝4敗で敗れ去った。

 以上、見てきた通り、2001年から2010年までの10年間にワールドシリーズ初出場のチームが6つもあった。21世紀に入ってメジャーリーグが新時代を迎えたというムードを感じさせるものだった。

 その流れが最近は収まって、今年のナショナルズはレンジャーズ以来9年ぶり。2005年のロッキーズからワールドシリーズ初陣チームは4度続けてシリーズで負けているが、今回のナショナルズはどうだろうか?(樋口浩一 / Hirokazu Higuchi)