社説:ラグビーW杯 日本の大躍進たたえる

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 ラグビーがこれほど面白いスポーツだと初めて知った人も多いのではないか。

 「ワンチーム」は多国籍の選手からなる日本代表のスローガンだ。多様性を認め、互いに尊重し合う。日本全体にそんな気分が満ちた1カ月だった。

 ワールドカップ(W杯)で初進出した準々決勝で、日本は南アフリカ相手に前半は健闘したものの、後半は突き放されて敗退した。

 4強入りは逃したが、躍進に大きな拍手を送りたい。日本スポーツ史に新たな歴史を刻んだ。

 1次リーグで4戦全勝した。強豪のアイルランドやスコットランドも破り、世界を驚かせた。

 初の自国開催でどこまで盛り上がるか―。そんな心配の声さえ出ていたのが、うそのようだ。

 だが南ア戦では、世界との差を思い知らされた。前回大会で日本が大金星を挙げた相手でもあり、向こうも意地を見せた。

 「ここがゴールじゃない」と自らにいい聞かせたというリーチ・マイケル主将は「日本はますます強くなっていく」と語った。

 大躍進の裏に、世界トップレベルの中でもまれた経験と、異例の長期合宿で培った結束があったことは見逃せない。

 前回大会後、世界最高峰リーグのスーパーラグビー(SR)に参戦した。日本は代表に準じたチームでの参加が認められた。

 さらに主力選手をSRから切り離し、2月から長期合宿を実施した。この4年で最も厳しい練習メニューを課したという。

 合宿が生んだのは、終盤でも落ちない運動量と肉体的な強さ、そして、互いを信頼して戦える「ワンチーム」だったのだろう。

 日本の評価はうなぎのぼりだ。強豪の10カ国・地域を指す「ティア1」のレベルとの声もある。

 だが、喜んでばかりもいられない。SRに参加した日本チーム「サンウルブズ」は金銭的な理由などから、来季を最後に除外されることが決まっている。

 W杯の熱気をいかに継続強化につなげるかが、これから問われる。

 大会は準決勝、決勝、3位決定戦を残す。これまで印象的なのは、日本が出ていない試合でもほぼ満員になるなどスポーツを純粋に楽しむ文化の広がりだ。ファン同士や各地のホスト自治体での交流もほほえましい。

 あとは日本がたどりつけなかった最高の舞台でどんなプレーが繰り広げられるのか、存分に楽しみたい。